研究の概要

太陽熱発電所(CSP)における太陽放射照度(日射量)の予測精度を改善するため、複数の移動センサー(ロボット群)を最適配置する自律制御アルゴリズムを提案した研究。日射量予測の精度は太陽熱発電所の運用効率と発電量の予測可能性に直結するため、電力系統の安定運用にとっても重要な課題である。

河瀬春輝・菅原大雅・A. Daniel Carnereraらによる研究。arXiv (eess.SY) 掲載。

主な発見・成果

  • クリギング法に基づく非類似度マップ:空間統計手法のクリギングモデルから「非類似度マップ」を導出し、観測が不十分な地点(情報の空白域)を定量的に特定できる手法を開発した。
  • 持続的カバレッジ制御:非類似度マップを目標として、複数のモバイルセンサーエージェントを情報の空白域に誘導する持続的カバレッジ制御アルゴリズムを設計した。
  • 予測精度の向上:提案手法によりベースライン手法と比較して日射量予測精度が大幅に向上し、より少ない台数のセンサーでもリアルタイムに高精度な観測が実現できることを実証した。
  • 固定センサーとの比較優位性:固定配置のセンサーネットワークに対して、提案する移動センサーシステムが予測精度・コスト効率の両面で優れていることを確認した。

実務への応用

太陽熱発電や太陽光発電(PV)施設において、日射量予測の精度向上は直接的な発電量予測・運用計画・入出力制御の改善につながる。電力系統への再エネ統合を拡大するにあたって、出力変動の予測精度向上は調整力コストの削減と系統安定性の維持に不可欠である。特に日射量の空間的変動が大きい地域では、固定センサーの補完として移動センサー技術が実用的な選択肢となりうる。また、本研究のフレームワークは、農地や海洋上の気象観測への応用も期待される。