研究の概要

2050年ネットゼロ目標達成に向けて、建物エネルギー消費の効率化は不可欠である。HVAC制御において最大の無駄の一つは「誰もいない空間を冷暖房し続ける」ことであり、高精度な在室検知が省エネの鍵となる。本研究は監視カメラ映像を活用した在室人数計測と、それをHVAC制御に統合するシステムを提案・実証した。

3種類のパイプラインを比較評価した:①物体検出のみ(YOLOv8)、②物体検出+追跡(トラッキング)、③YOLOv8+DeepSeek(LLM)によるリファイン。研究室での実験においてマニュアルアノテーションを正解データとして各手法の精度を評価し、OpenStudio-EnergyPlusとの統合によりHVAC省エネ効果を試算した。

主な発見・成果

  • 最高精度:YOLOv8+DeepSeek統合が精度0.8824、F1スコア0.9320を達成
  • LLMによるリファインが「誤無人検知(実際には人がいるのに誰もいないと判定)」を大幅削減
  • 省エネ効果:HVAC制御に統合することで17.94%のエネルギー削減ポテンシャルを確認
  • 既存監視カメラインフラを活用できるため、追加ハードウェア投資が最小限

実務への応用

オフィスビル・商業施設・工場の設備管理者にとって、既存の監視カメラとAI処理を組み合わせるだけでHVACのエネルギー消費を約18%削減できる可能性を示す。新規のセンサー投資なしに在室検知精度を高められるため、費用対効果が高い。ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)認証取得に向けた省エネ改善策として、既存施設での即時展開を検討できる。