研究の概要
5G通信の普及に伴い、通信事業者(MNO)の電力消費は急増しており、再生可能エネルギーの活用と電力コスト削減が急務となっている。しかし複数のMNOが同一場所に基地局を設置している場合、互いのエネルギー消費データはビジネス上の機密であり、共同最適化が困難であった。本研究はプライバシーを保ちながら複数MNO間でエネルギーを共有最適化する「Collective Grid」フレームワークを提案する(ICC採択論文)。
フレームワークは3つのモジュールで構成される:①フェデレーテッド学習によるサイト別電力消費予測(各MNOのデータは外部に出ない)、②混合整数線形計画によるグリッド購入・再エネ活用・蓄電池運用の最適スケジューリング、③需要パターンに基づくコスト最小化電源選択。
主な発見・成果
- 非共有ベースライン(各MNOが独立管理)と比較して電力コストを大幅削減
- 5Gネットワーク密度が高まるほど協調の恩恵が増大(スケールメリット)
- 各MNOのエネルギーデータのプライバシーを完全に保護しながら最適化を実現
- 再エネ活用率向上・蓄電池利用効率向上・グリッド電力購入削減を同時達成
- 実際の通信ネットワーク運用データを用いた検証
実務への応用
通信事業者・データセンター事業者・産業団地の電力共同購入担当者にとって、本研究はプライバシーを保護しながら電力を共同最適化する枠組みを示す。複数テナントのスマートビルや産業団地での再エネ共有においても同様のアーキテクチャが応用できる。RE100やScope 2削減目標達成に向けた複数拠点の統合エネルギー管理システムの設計において参考になる。