実装のポイント

大型商船(外航バルカーやタンカー等)の主機関は長距離・高出力運転が求められるため、水素燃料への転換には圧縮水素よりもエネルギー密度の高い液化水素(LH2)が不可欠とされてきた。ジャパンエンジンコーポレーションと川崎重工業は、NEDO「グリーンイノベーション基金事業」の支援のもと、大型低速2ストローク水素エンジン「6UEC35LSGH」の液化水素を用いた地上運転試験を2026年3月に開始した。100%負荷での水素混焼率95%以上を達成し、GHG大幅削減と安定運転の両立を確認。世界初となるマイルストーンだ。

具体的な手順

エンジン仕様

  • 型式: 6UEC35LSGH(6気筒、低速2ストローク、大型舶用エンジン)
  • 燃料方式: 液化水素(LH2)供給 ※圧縮水素は採用せず
  • 水素混焼率: 100%負荷時95%以上(残りはパイロット燃料)
  • 燃料供給設備: Marine Hydrogen Fuel Supply(MHFS)をジャパンエンジン本社工場内に新設

地上実証から実船実証へのロードマップ

  1. 2026年3月: フルスケールエンジン初号機での液化水素地上運転開始 → 所定出力・水素混焼率95%超を確認
  2. 2027年1月: エンジン出荷(尾道造船の実証船へ搭載)
  3. 2028年度〜3年間: 1万7500重量トン型水素燃料多目的船にて実証運航 (商船三井・商船三井ドライバルクが運航管理)

液化水素採用の理由

圧縮水素(CGH2)は体積エネルギー密度が低く、長距離航海に必要な燃料量の搭載が困難。LH2はCGH2比で体積あたりエネルギー密度が約800倍高いため、外航船に求められる航続距離を確保できる。

得られた結果

  • 世界初、大型商船向け液化水素燃料エンジンの地上運転成功
  • 100%負荷で水素混焼率95%超・安定運転を確認
  • 外航貨物船(バルカー等)への液化水素エンジン適用の技術的実現可能性を立証
  • 2028年から商用規模での実証運航へ移行予定