研究の概要
米カリフォルニア大学バークレー校らの研究グループは、EV普及が進んだ配電系統における充電制御を、走行計画と連動して最適化する新フレームワーク「MAC(Mobility-Aware Coordinated Charging)」を提案した。従来の充電スケジューリングは「到着〜出発までの停車時間」しか考慮しない一点最適化が主流で、走行履歴・次行動予測を踏まえた「全旅程ホライズンでの最適化」は計算量が大きく実装困難とされてきた。本研究はADMM(交互方向乗数法)による分解手法を導入し、系統全体を小ブロックへ分割して並列最適化することで、数千ノード規模の配電網でも実時間に近い解を得られることを示した。
主な発見・成果
- ベイエリア実データを用いたシミュレーションで、EV普及率30%シナリオにおいても配電トランスの過負荷リスクを一定水準以下に保ちつつ、ドライバーのSOC要求を遵守可能。
- 「認証可能(certifiable)」なスケール性を保証し、ADMMの反復回数と最適性ギャップを理論的に示した。
- 配電容量の追加投資を回避でき、系統増強コストの削減ポテンシャルが定量評価されている。
実務への応用
EV対応の配電増強は、単にトランス容量を積み増すのではなく「走行データと連動したスマート充電」で代替できる余地が大きいことを示唆する。自治体・配電事業者・充電インフラ事業者は、駐車場/自宅での連携充電制御にモビリティデータ(カーシェア・MaaS統計)を組み込む設計を検討する価値がある。特に再エネ余剰時間帯とのマッチング制御と組み合わせれば、Scope2削減と混雑回避の両立が可能になる。