研究の概要

本研究は、IEAなどの公式シナリオがしばしば再エネ拡大を過小評価してきたという批判を背景に、各国の過去の普及実績(S字カーブ、政策転換のタイミング、導入速度)を学習する確率的モデル「PROLONG」を開発した。国別のロールアウト履歴を非パラメトリック分布で束ね、世界全体の風力・太陽光成長シナリオを確率帯として出力する。

主な発見・成果

  • PROLONGによる中心予測は、現行政策シナリオ(STEPS相当)より大幅に高い成長を示唆。
  • 2℃整合のIPCCパスウェイと矛盾しない拡大速度が、歴史的実績ベースでも現実的であることを定量化。
  • 確率帯を持つため、投資家・政策決定者がテールリスク(低成長・高成長)を可視化できる。

実務への応用

エネルギー関連企業の長期計画・投資判断では、IEA STEPSや自国政府見通しを基準値として使うケースが多いが、本研究はそれらが系統的に保守的である可能性を示す。電力会社・素材メーカー・設備ベンダーは、PROLONGのような実績ベース予測を「アップサイドシナリオ」として併用することで、設備投資・要員計画・原材料確保のロバスト性を高められる。再エネ機器のサプライチェーン投資判断に特に有効。