研究の概要
米国の一人当たりエネルギー消費は2006〜2022年の間に12.8%減少したが、その内訳を「価格効果(価格弾性)」「効率政策効果(規制・基準)」「構造変化(産業構成)」に分解した州パネル研究。著者らは確率的フロンティア分析(SFA)と分解法を組み合わせ、政策効果を「消費量そのものへの直接効果」と「非効率の削減を通じた間接効果」の2経路で評価した。
主な発見・成果
- 12.8%の消費減少のほぼ全てがエネルギー原単位(intensity)改善で説明される。
- 価格メカニズム(エネルギー税・市場価格変動)と規制的効率政策(家電基準・建築物基準)は、州間のばらつきに対しどちらも有意な説明力を持つ。
- 効率政策は「非効率を削る第二経路」を通じても大きく貢献しており、単純な弾性モデルでは効果を過小評価してしまう。
実務への応用
自治体・政府機関でエネルギー効率政策を設計する際、費用対効果分析で「価格弾性×想定削減量」だけを見るとMEPS(最低性能基準)やZEB基準の効果を過小評価する。政策効果を「直接削減」と「非効率解消」の二経路で設計・評価するアプローチは、GX基本方針・省エネ法見直しの文脈でも示唆が大きい。企業のエネルギー管理部門にとっても、内部の「効率フロンティア」を意識したベンチマーク設定がScope1/2削減の加速につながる。