研究の概要

EV・ヒートポンプ・屋根置き太陽光(PV)の急速な普及が低圧(LV)配電網の潮流パターンを根本的に変化させているにもかかわらず、配電系統運用者(DSO)は顧客レベルの詳細データへのアクセスが制限されており、接続DERの実態把握が困難な状態にある。本研究は個別顧客監視を必要とせず、LV集約ポイント(変圧器・フィーダー)で一般的に取得可能なサブステーション・フィーダーレベルの計測データから「集約DER設備容量」を推定する実用的・スケーラブルなアプローチを提案した。

主な発見・成果

  • サブステーション・フィーダーレベルの計測から集約DER容量を推定することで、個別顧客レベルのデータなしでDER認知を実現できることを示した。
  • 推定した集約容量がDER対応需要予測、混雑管理、柔軟性定量化、ホスティング容量評価、DER導入トレンド監視の5領域に直接活用できることを実証。
  • プライバシー制約・データアクセス制約を回避しながら運用情報を向上させる「実用的な中間解」を提供。
  • 再エネ・電化移行が加速する中でDSOが直面する可観測性課題に対してスケーラブルな解答を示した。

実務への応用

日本の配電事業者はEV・ヒートポンプ普及に伴い「誰がいつどこで大きな負荷を増やすか」が把握しにくくなっている。スマートメーター全戸普及が完了したとしても、DER登録情報の網羅性・精度には限界がある。本手法が示す「集約点計測からのボトムアップ容量推定」は、顧客の個人情報を取得せずに系統のDER実態を把握する現実的な方法論を提供する。混雑管理・柔軟性調達・ホスティング容量評価に必要なDER情報基盤の整備コストを大幅に削減できる可能性がある。