実装のポイント

五島沖の浮体式洋上風力実証事業では、独自の「FLOAT RAISER工法」を採用することで、大規模港湾設備がない離島・地方でも浮体式風力の設置を可能にした。コンクリート製と鋼製を組み合わせたハイブリッドスパー型浮体に2.1MW風車を搭載し、8基計16.8MWのウィンドファームを2026年に稼働させた。浮体の低重心設計により、強風時でも「起き上がり小法師」のように自動復帰する安定性を確保している。

具体的な手順

  1. 浮体の製造: コンクリート(五島産)と鋼製を組み合わせたハイブリッドスパー型浮体を製造。地元での溶接・建設工程を最大限活用
  2. 台船による運搬: 製造した浮体構造部を台船に載せ、沖合の設置海域まで運搬
  3. フロートオフ(浮上): バラストタンクに海水を注入し、浮体を台船から切り離して海面に浮上させる
  4. 立ち上げ: 浮体内部にさらに海水を注入して重心を下げ、水平状態から垂直(直立)に立ち上げる
  5. 係留固定: 3本のチェーンで海底に固定し、定点保持を確保
  6. 機器搭載: クレーン船でナセルとブレードを設置し、風車を完成させる
  7. 送電接続: 海底送電ケーブルで陸上系統に接続して発電を開始

得られた結果

  • 発電規模:2.1MW×8基=計16.8MW が稼働(2026年)
  • 大規模港湾のない五島列島での施工を実現し、離島・地方展開モデルを確立
  • 建設最盛期に150人超の地域雇用を創出、宿泊・飲食への経済波及も発生
  • 浮体の海中部分が魚礁として機能し、漁師の懐疑的姿勢が支持へ転換(漁業共存の実証)
  • 年間1000人超の視察者来訪による業界への知見普及効果
  • 今後の課題: 国内風車メーカー不在による海外調達依存、コストダウンのための大型化・量産化が普及の鍵