実装のポイント
大成建設は、太陽光発電・リチウムイオン蓄電池・低圧水素貯蔵設備・燃料電池発電システムの4要素を組み合わせたEMS(エネルギー管理システム)により、建物の電力を系統電力なしで100%自給する実証に成功した。季節・天候の変動に対応するため、短期調整は蓄電池、長期調整(季節間)は水素に役割を分担させる「階層型貯蔵アーキテクチャ」が特徴。
具体的な手順
システム構成
- 太陽光発電:屋根・壁面に設置し発電電力を一次電源として供給
- リチウムイオン蓄電池:日単位の短期変動(昼間余剰→夜間放電)を平滑化
- 水電解装置:余剰電力で水を電気分解して水素を生成・低圧タンクに貯蔵
- 燃料電池:貯蔵水素から電力を再生成(冬季・雨天継続時に活用)
EMS制御ロジック(簡略)
- 太陽光発電量を優先的に建物負荷へ供給
- 余剰電力を蓄電池へ充電(蓄電池が満充電になると水電解へ切替)
- 夜間・悪天候時は蓄電池放電→蓄電池残量低下時に燃料電池起動
- 燃料電池の起動判断は貯蔵水素量と気象予報に基づき自動制御
得られた結果
晴天日(6月)の実測値:
| 用途 | 電力量 |
|---|---|
| 太陽光発電総量 | 444 kWh |
| 建物への直接供給 | 57 kWh |
| 蓄電池への充電 | 155 kWh |
| 水電解(水素生成)に利用 | 232 kWh |
冬季(2月):
- 貯蔵水素から168kWhを供給し、冬季の日射量不足を補完
この実証により、季節をまたぐ長期貯蔵に水素を活用することで、太陽光のみで年間を通じた電力自給が技術的に実現可能であることが示された。商業建物・工場の「グリッドフリー化」に向けた実装モデルとして参照価値が高い。