やったこと

ヒューリックは2026年4月15日、ヒューリックエナジーソリューションとクリーンエナジーコネクト(千代田区)と共同で新会社を設立し、オフサイトコーポレートPPAサービスを開始した。対象は800カ所の非FIT(固定価格買取制度の適用外)小型太陽光発電所で、調達量は年間73GWhに上る。ヒューリックグループの年間電力使用量の約2割を再エネで賄う計画だ。

具体的な手順・工夫

非FIT太陽光という電源選択

FITを活用した太陽光発電は買取期間終了後(卒FIT)に市場売電に移行するが、非FITは当初からFITの枠組みを使わずに整備された発電所を指す。非FIT電源は需要家への直接PPAに適しており、追加性(新たに整備された再エネへの投資)が認められやすい特長がある。GHG排出量報告における再エネ属性の信頼性が高い電源として注目されている。

800カ所分散型モデルの設計

1カ所あたりの規模が小さい代わりに、全国800カ所に分散することでアグリゲーション効果を生み出している。分散型電源は天候リスクを地理的に分散できるほか、送電ロスの局所化にもつながる。不動産会社が各物件の屋根・駐車場・遊休地などに設置した小型太陽光を集約する「分散型PPA」モデルの先行事例だ。

新会社設立による推進体制

ヒューリック単体でなく、エネルギー管理子会社(ヒューリックエナジーソリューション)と専業事業者(クリーンエナジーコネクト)の3社で新会社を設立した。発電所の運営管理・電力取引・ポートフォリオ管理を新会社に集約することで、800カ所という規模の管理コストを合理化している。

類似事例との比較

野村不動産向けに2026年2月に発表されたオフサイトコーポレートPPAとほぼ同様のビジネスモデルを採用。クリーンエナジーコネクトが蓄積したアグリゲーション技術・電力取引ノウハウを活用している。不動産会社が自社グループの電力需要と自社保有発電資産を組み合わせる「垂直統合型再エネ調達」のモデルケースといえる。

Scope2削減への貢献

年間73GWhの再エネ調達により、ヒューリックグループの電力使用に伴うScope2排出量を約2割削減できる。残る8割は既存の再エネメニューや非化石証書との組み合わせで対応する見込みとされている。

得られた結果

  • 調達量:年間73GWh(グループ電力使用量の約2割相当)
  • 対象電源:非FIT小型太陽光発電所800カ所
  • スキーム:オフサイトコーポレートPPA
  • 推進体制:3社合同新会社設立
  • 開始:2026年4月15日

他社が参考にすべき点

  • 不動産業のPPA展開モデル:ビル・商業施設・物流施設を多数保有する不動産会社は、自社保有物件の遊休スペースに太陽光を設置してPPA電源化できる。外部発電事業者に頼らず内製化できる点でコスト競争力がある。
  • 非FIT電源のアドバンテージ:Scope2報告や科学的根拠に基づく削減目標(SBT)において、非FIT・追加性あり電源は評価が高い。卒FIT太陽光ではなく非FIT新設にこだわる理由を整理しておくことが開示対応で重要。
  • 3社連携の推進体制:エネルギー管理・発電・電力取引の専門機能を持つ外部事業者と共同で新会社を設立することで、社内に専門人材がいなくても大規模PPAを推進できる。同様のアプローチは製造業・流通業にも応用できる。