やったこと

パナソニックと中部電力ミライズは2026年4月15日、家庭用冷蔵庫を対象としたデマンドレスポンス(DR)自動運転サービスの申込受付を開始した。電力会社からのDR要請に応じて、ユーザーが個別に操作しなくても冷蔵庫が自動で電力使用を調整する仕組みを日本で初めて商用化した取り組みである。

具体的な手順・工夫

システム構成

パナソニックのクラウドサーバーが中部電力ミライズからのDR要請信号を受信し、スマートフォンアプリ(Kitchen Pocket)経由で対応機種の冷蔵庫へ制御指令を送信する。ユーザーが能動的に操作する必要はなく、DRの開始・終了時に冷蔵庫が音でお知らせする機能も備える。

下げDR(電力抑制)の実装

DR要請が発令される前の時間帯に庫内を事前に予冷しておき、DR要請時間中はコンプレッサーを停止して電力使用を抑制する。食品の安全性を保ちながら電力削減を実現するため、予冷タイミングの最適化アルゴリズムが組み込まれている。

上げDR(電力増加)の実装

通常は夜間に設定されている霜取り運転のタイミングをDR要請時間帯へシフトさせ、余剰電力を積極的に消費する。太陽光発電の出力過剰時など、電力系統への貢献が必要な場面での活用が想定されている。

実証実験からの学び

2024年12月に実施した実証実験では、「お知らせ機能が他のDR要請に応える行動につながった」と回答した被験者が7割に上った。下げDR・上げDRの双方で行動変容が確認されており、自動制御と通知機能の組み合わせが有効なことが示された。

インセンティブ設計

参加者へのポイント還元は、直近の平均使用量との差に基づいて算出し、1か月単位で翌月上旬に進呈する仕組み。従来の行動誘因型DR(ユーザーが手動でエアコン等を操作するタイプ)と比較して特別ポイントが上乗せされる。

申込方法

  1. 中部電力ミライズの「NACHARGE Link KADEN」サービスに申し込む
  2. DR機能搭載のパナソニック製冷蔵庫を購入する
  3. Kitchen Pocketアプリで初期設定を完了する

サービスエリアは現時点で中部電力ミライズのサービス提供地域に限られる。

得られた結果

  • 下げDR・上げDRの双方に自動対応できる家庭用冷蔵庫DRサービスとして日本初の商用化を達成
  • 実証実験では参加者の7割が能動的な行動変容を示す
  • 家電メーカーと電力会社が連携したプラットフォーム型DRの実装モデルを確立

他社が参考にすべき点

  • 機器メーカーと電力会社の連携モデル:家電に内蔵された制御ロジックとクラウドAPIを接続することで、ユーザー負担ゼロのDRを実現できる。同様のアプローチはエアコン・給湯器・EV充電器でも応用可能。
  • 予冷・霜取りタイミングのシフトという既存機能の活用が、追加コストを抑えた実装のポイント。新規ハードウェア投資なしに既存製品でDR機能を付加できることが示された。
  • インセンティブ設計:差分ベースのポイント算出は参加者にとって公平感があり、継続参加を促す。電力小売事業者がアグリゲーションビジネスを設計する際の参考になる。