実装のポイント

EU森林破壊規制(EUDR:EU Deforestation Regulation)は2026年末の完全施行を前に、すでに企業の調達体制とサプライチェーン開示を変えつつある。英国NGO・グローバルキャノピーが毎年公表するForest 500(2026年版、4月14日発表)は、森林破壊リスクの高い500社を対象に9品目(牛肉・ゴム・コーヒー・パーム油・木材・大豆等)における対応状況を評価した。日本企業では花王が最高評価を獲得。対応が遅れている企業には2026年末施行前の早急な実装が求められる。

具体的な手順

EUDRが企業に義務付ける3要素

1. デューデリジェンス(DD)体制の構築 対象品目の調達リスクを評価・文書化する内部プロセスを設計する。リスクの高い原産国・サプライヤーをマッピングし、年次でアップデートする体制が必要。

2. 農場レベルまでのトレーサビリティー確立 EUDRは「どの農場から調達したか」を地理情報(緯度・経度)付きで記録することを求める。パーム油・コーヒー・天然ゴム等のサプライヤーに対し、地理情報の開示をサプライヤー選定基準の一項目に組み込む。

3. EU電子データベースへの適合宣言の提出 EU市場への輸入・輸出前に、調達製品が「規制対象地域で2020年12月31日以降の森林破壊後に生産されたものでない」ことをEUシステムに申告する義務がある。

品目別の実装優先度(Forest 500 2026年版データ)

品目森林破壊ゼロ公約率トレーサビリティー実装率
パーム油76%高水準
コーヒー18%低水準(要対応)
天然ゴム中程度低水準(要対応)
大豆中程度中程度

企業の3分類と対応アクション

分類比率対応アクション
先進企業4%全品目コミットメント+地理情報完備 → 維持・更新
対応中企業63%一部品目のみ対応 → 未対応品目にDD体制を拡張
未対応企業33%方針・開示なし → 今すぐサプライヤーマッピングを開始

得られた結果

500社分析において、EUDRに言及した企業は68社(14%)で前年比増加。2025年にはトレーサビリティー開示が9品目中8品目で前年を上回った。「規制を先取りした企業ではサプライヤー見直しがすでに進んでいる」とされ、EUDR違反時のペナルティはEU年間売上高の4%超の課徴金と市場アクセス制限となっている。花王はパーム油・紙パルプ・大豆等の主要品目で全品目カバーのコミットメントと実装を達成し、日本企業トップ評価を獲得した。