実装のポイント

ICAOのテクニカルアドバイザリーボード(TAB)は2026年4月16日、VerraのVCS規格「VM0051:稲作生産システムの管理改善(AWD方法論)」第1版を、国際航空カーボンオフセット・削減スキーム(CORSIA)の第1フェーズおよび第2フェーズの適格クレジットとして承認した。これにより、発展途上国の水田で交互湿潤乾燥(AWD:Alternate Wetting and Drying)手法を導入してメタン排出を削減するプロジェクトから創出されたカーボンクレジットが、航空会社のCORSIA義務履行に利用できるようになった。Verra VCSプログラム全体がすでにICAOに承認されているため、VM0051プロジェクトは個別申請なしにCORSIA適格クレジットとして流通する。

具体的な手順

VM0051プロジェクトの実装ステップ(プロジェクト開発者向け):

  1. 地理的・制度的要件の確認

    • 対象国: 発展途上国(REDD+適格国)に限定
    • ホスト国政府承認(Corresponding Adjustment / CA)の取得が必須
    • JCMや他の二国間クレジット制度との重複回避を事前確認
    • CORSIA Phase 1(2021〜2026年)・Phase 2(2027〜2035年)どちらでも適格
  2. AWD(交互湿潤乾燥)の圃場実装

    • 水田の水管理スケジュールを「湛水→乾燥」の交互サイクルに変更
    • 常時湛水から切り替えることで土壌嫌気状態を抑制しメタン発酵を低減
    • 農家への技術指導と水管理インフラ(排水設備・水位センサー等)の整備
  3. デジタルMRV(計測・報告・検証)の構築

    • リモートセンシング(衛星データ)で広域水管理状況を把握・記録
    • デジタルMRVツールでデータ不確実性を低減(従来の現地調査ベースより精度向上)
    • モニタリングデータを第三者機関(バリデーター/ベリファイアー)に提出・検証
  4. Verra VCSへのプロジェクト登録とクレジット発行

    • Verraのプロジェクト登録申請(PDD作成、バリデーション受審)
    • 年次モニタリングレポート提出とベリフィケーション受審
    • 承認後にVerraレジストリでVCU(Verified Carbon Unit)として発行

CORSIA義務履行に使用する場合のフロー(航空会社向け):

  • Verraレジストリ上でVM0051 VCUを購入・取消(キャンセル)
  • ICAOへの取消報告を実施してCORSIA義務から控除
  • Phase 1基準年(2019〜2020年平均)比の超過排出量分に充当

得られた結果

  • VM0051による水田メタン削減クレジットが初めて航空コンプライアンス市場(CORSIA)に解禁
  • 自発的カーボン市場(VCM)と規制市場(CORSIA)の接続により水田プロジェクトの資金調達機会が拡大
  • リモートセンシング+デジタルMRVの採用でクレジット品質への信頼性が向上
  • Green Carbon社の越南(ベトナム・アンザン省)AWDプロジェクトが世界初VM0051案件として先行登録済み