やったこと

パナソニックグループは2025年大阪・関西万博のパビリオン「ノモの国」の建設・解体において、建築物全体(展示物除く)でリユース・リサイクル率99%以上・廃棄率1%未満を達成した。主要鋼材に家電リサイクル由来の鉄(約97トン)を採用し、解体後は東京製鐵を通じて再びパナソニックグループ製品の鋼材として戻す「クローズドループ・スキーム」を構築した点が最大の特徴。パビリオンは2026年4月に解体を完了した。

具体的な手順・工夫

「解体後の出口」を建設設計に逆算した素材選定

建設段階から解体・再利用の出口を設計する逆算的アプローチを採用。構造材(柱・梁)の約98%に家電リサイクル鉄(約97トン)を使用した。鉄骨を主構造に選んだ理由は「家電リサイクル技術を活かして再資源化しやすくするため」であり、鉄→鉄骨→電炉製鋼→製品材料というクローズドループが成立する素材特性を設計に組み込んだ。

東京製鐵との連携によるクローズドループ(鉄)

解体後、パナソニックETソリューションズとパナソニックオペレーショナルエクセレンスが東京製鐵と連携し、回収した鉄材を再びパナソニックグループ製品の材料として戻す。電炉活用の国内クローズドループにより、製鋼時のCO₂排出量が少ない低炭素鋼材を継続的に循環させるスキームを確立。

三菱マテリアルとの連携(銅)

幹線ケーブル891m分の家電リサイクル銅(約1.2トン)は三菱マテリアルと連携し製品材料として再利用。建物スクラップの銅を品目として個別管理・追跡した点が実務上のポイント。

建材・設備の品目別分散リユース

建材の一括廃棄ではなく品目ごとに移設先を確保:

  • 舗装ブロック(廃家電ガラス由来、洗濯機約9,200台分、計749m²)→大林組技術研究所165m²・パナソニック門真本社駐車場584m²
  • 照明・スピーカー等約30品目180点→大林組施設へリユース
  • ファサード・照明→2027年国際園芸博覧会(東邦レオSTUDIO)に移設予定

得られた結果

  • リユース・リサイクル率:99%以上(廃棄率1%未満)
  • 家電リサイクル鉄:約97トン(柱・梁の98%使用)→クローズドループ再利用
  • 家電リサイクル銅:約1.2トン(幹線ケーブル891m)→製品材料に
  • 設備リユース:約30品目180点を複数施設へ移設
  • 連携企業:東京製鐵・三菱マテリアル・大林組・東邦レオ

他社が参考にすべき点

  • 「解体後の出口」を建設設計に組み込む逆算アプローチ:商業施設・展示施設・仮設建物など一定期間後の解体が見込まれる建物に応用可能。素材選定の段階でリサイクルパートナー(製鉄会社等)を確保しておくことがポイント。
  • 家電リサイクル鉄+電炉メーカーのクローズドループが実用段階:「家電→鉄骨→電炉製鋼→家電材料」というパナソニック×東京製鐵のループは、製造業が建設投資時に参考にできる実証済みスキーム。ADI×東京製鐵の低CO₂鋼材採用事例とも合わせると、電炉鋼材が建設脱炭素の定番手法として定着しつつある。
  • 廃棄率1%未満が建設分野のベスト事例水準:日本の建設廃棄物リサイクル率は約9割が一般水準だが、廃棄率1%未満は設計段階から仕組みを組んだ場合の達成可能な上限値として参照できる。
  • 建材は「品目別管理」で移設先を最大化:一括廃棄・一括リサイクルではなく、品目ごとに転用先・リユース先を確保して契約するアプローチが廃棄率を下げる実務的な鍵。