実装のポイント

吉田染工(テキスタイル染色業)は30年前から段階的に熱回収設備を整備してきた。染色工程では染色後に大量の高温排液が発生し、ボイラーからも高温の排気が出る。これら2つの廃熱源を直接捨てずに熱交換器を通して順次回収し、後工程の加熱源に再利用することで燃料消費を削減している。現在はSBT(Science Based Targets)取得に向けた工程別排出量の可視化も並行して推進中。

具体的な手順

  1. 第1段階:染色高温排液の熱回収 染色完了後に排出される高温排液を集約し、熱交換器でクリーンな水と対向させて熱移動を行う。回収された温水は蓄熱タンクに貯留し、次工程の染色浴の調製用湯水およびボイラー給水として再利用する。これにより「排液として捨てていた熱エネルギー」を後工程の加熱負荷軽減に転換できる。

  2. 第2段階:ボイラー排気熱の回収(二次熱交換) 第1段階で温水化した給水を、さらにボイラーの排気経路に設置した熱交換器で2次加熱する。ボイラー排気と熱交換することで給水温度をほぼ100℃近くまで予熱してからボイラーに投入するため、ボイラーが担う加熱幅が大幅に縮小し、燃料消費量が削減される。

  3. 周辺工程の複合省エネ施策 2段階熱回収と並行して、若手チーム主導で洗浄工程の水量・温度最適化、照明のLED化、太陽熱の補助利用、設備の稼働時間集約(ピーク電力低減)などを実施。複数施策の積み上げで削減効果を最大化している。

  4. 工程別CO2排出量の可視化とSBT申請準備 アパレルメーカーからのカーボンフットプリント(Scope3)開示要求に対応するため、工程ごとの排出量をトレースできる体制を構築中。2030年を目標年としたSBT認定取得に向けて削減ロードマップを策定している。

得られた結果

  • 30年にわたる継続運用で品質維持と燃料コスト削減を両立
  • 高温排液→ボイラー排気の2段階熱交換により廃熱を二重に有効活用
  • ボイラー給水をほぼ100℃近くまで予熱することで加熱負荷を大幅に削減
  • アパレルのScope3対応要請に工程別排出量データで応答できる体制を整備
  • SBT取得プロセスを通じて削減ポテンシャルの定量的把握が進行中