やったこと

日本キヤリア株式会社は2026年4月22日、宮崎県のピーマン・トマト・イチゴ農家において同社の電気式ヒートポンプ空調「暖太郎シリーズ」(寒冷地向けEHP)が導入され、重油暖房をほぼゼロ化した複数の事例を公開した。従来の重油ボイラー暖房との比較でCO₂削減と燃料費削減を同時に実現しており、農業分野の脱炭素化と経営安定化を両立する手法として注目されている。

具体的な手順・工夫

重油ボイラーから寒冷地向けEHPへの切り替え

ビニールハウス農業の主暖房として長年使われてきた重油ボイラーを、電気式ヒートポンプ(EHP)の「暖太郎シリーズ」に更新した。「暖太郎シリーズ」は低外気温時でも高い暖房能力を維持するよう制御仕様が最適化されており、九州・宮崎のような冬季の気温環境でも主暖房として機能する。

除霜運転の改善による運転安定性確保

寒冷地向けEHPの導入において課題となる室外機の着霜対策・除霜運転を改善した制御設計を採用することで、低外気温時でも安定した暖房運転を実現している。従来のEHPが苦手とする「外気温が低い夜間・早朝の安定暖房」の実現がハウス農業での採用拡大の鍵だった。

24時間スケジュール運転と通年活用

24時間スケジュール運転機能により、日中・夜間の温度プロファイルに合わせた細かい温度制御が可能。さらに夏場は冷房機能としても活用できるため、年間を通じたハウス内温湿度管理に1台で対応できる。スポット空調「FLEXAIR」との組み合わせにより、局所的な温度管理も可能。

リース導入によるコスト負担の平準化

初期投資の大きな設備更新に対して、リース形式での導入を活用することで農家の資金負担を平準化している。国や自治体の補助金制度も活用可能であり、初期投資額を圧縮した上でリース化することで導入ハードルを下げている。

得られた結果

  • 主要効果:重油暖房利用ほぼゼロ化(CO₂排出量削減)
  • 経済効果:年間コストメリット最大50〜70万円(宮崎県内ピーマン農家・リース導入例)
  • 適用作物:ピーマン・トマト・イチゴ(宮崎県内の複数農家で実績)
  • 補助金:国・自治体の補助金制度の活用が可能

他社が参考にすべき点

  • 農業Scope1削減の最短経路は重油ボイラー→EHP転換:施設園芸の加温コスト(重油)はScope1排出の大宗を占める。EHPへの転換は削減効果が直接的かつ大きく、農業経営のコスト削減にも直結するため費用対効果が明確。
  • 年間50〜70万円のコストメリットはリース料を上回りやすい:重油価格が高止まりしている現在、年間70万円のコスト削減が見込めるならリース料を差し引いてもプラスになるケースが多い。補助金を組み合わせれば回収期間をさらに短縮できる。
  • 寒冷地向けEHPの選定が成否を分ける:「暖太郎シリーズ」のように低外気温対応・除霜改善が施された製品でなければ冬季の安定暖房は困難。農業用EHPを選定する際は低温暖房能力と除霜仕様を最重視すること。
  • 施設園芸×EHPの補助金制度は複数存在:農林水産省の「農業農村整備事業」や「強い農業づくり総合支援交付金」等でEHP導入支援がある。自治体によって独自補助もあるため、導入前に地域の農業改良普及センター等に相談するのが実務的。