実装のポイント
商船三井はインドのスタートアップ「Alt Carbon」と協力し、「強化風化(Enhanced Rock Weathering: ERW)」と呼ばれる自然プロセスを加速させるCO2除去(CDR)手法を実用化した。アジア最大級となる2500トンの炭素除去クレジットを取得し、将来的には合計1万トンのクレジット獲得を計画している。
具体的な手順
技術メカニズム
- 玄武岩の粉末化:玄武岩(火山岩)を細かく粉砕してパウダー状にする
- 農地への散布:インド西ベンガル州の茶園や農地に玄武岩粉末を散布する
- CO2の化学的固定:雨水が玄武岩と反応する際に大気・土壌中のCO2を炭酸塩(重炭酸イオン)として取り込む
- 海洋への移送:固定化された炭素(重炭酸イオン)は河川経由で海洋に流入する
- 長期貯留:海中で炭酸カルシウムとして沈殿・固定化され、1万年以上にわたり安定貯留される
クレジット認証プロセス
- 国際的な認証機関「Isometric」が測定・検証・認証を実施
- 科学的根拠に基づいた炭素除去量の定量化
- 第三者認証により市場での信頼性を確保
副次的効果(農業への恩恵)
- 玄武岩粉末に含まれるカルシウム・マグネシウムが土壌のpHを改善
- リン・ケイ素などの栄養分供給による農地の生産性向上
- 農家の所得向上と脱炭素プロジェクトの両立
得られた結果
- 取得済みCDRクレジット:2500トン(アジア最大級)
- 目標クレジット量:合計1万トン
- 貯留期間:1万年以上(恒久的な除去として算定可能)
ERWは既存農業インフラを活用できるため、大規模CCS設備投資が不要でコスト効率が高いCDR手法として注目されている。