実装のポイント
商船三井と電源開発(J-Power)は、硬翼帆式風力推進装置「ウィンドチャレンジャー」を既存の石炭輸送船「黒滝山丸Ⅲ」に改造搭載することに世界で初めて成功した(2026年4月完了)。従来は新造船へのみ搭載可能とされていたが、既存船改造という新たな実装モデルを確立したことで、現役稼働中の船舶へのレトロフィット(後付け改修)が現実的な選択肢となった。
具体的な手順
技術仕様
- 帆の高さ:最大53メートルまで伸縮する4段式構造
- 素材:繊維強化プラスチック(FRP)製
- 制御方式:AIによる自動制御で帆の回転・伸縮を風況に応じてリアルタイム調整
- 動作原理:追い風・横風時に帆を展開して推進力を補助、向かい風時は帆を収縮して抵抗を回避
導入ロードマップ
- 2022年:世界初のウィンドチャレンジャー搭載新造船「松風丸」就航(東北電力向け石炭輸送)
- 2024年:2隻目の新造搭載船「Green Winds」竣工
- 2026年4月:世界初の既存船改造搭載完了(黒滝山丸Ⅲ)
- 2030年度まで:25隻への展開を目標
- 2035年度まで:80隻への展開を目標
得られた結果
松風丸での約18か月の実航海データ:
- 日単位での最大削減率:17%(単日最大値)
- 航海平均削減率:5〜8%(ロイド船級協会認定の計測方法で確認)
- 航路別削減率:日本〜豪州航路で5%、日本〜北米西岸航路で8%(帆1本あたり)
既存船への改造実装は、新造船投資に比べて導入コストを大幅に抑えながら脱炭素効果を得られる実用的な手段であることが実証された。