やったこと
伊藤園とネスレ日本は2026年4月28日より、静岡を起点とした2種類の共同輸送を開始した。飲料メーカーと茶葉メーカーという異業種が、荷台スペースの相互補完と往復輸送の最適化によって輸送効率を高め、トラック台数と温室効果ガス排出量の削減を図る取り組みだ。2024年問題(トラックドライバー不足)と脱炭素という物流業界の2大課題に同時対応した実装事例。
具体的な手順・工夫
取り組み①:静岡〜千葉間 重軽混載共同輸送
- 対象製品:ネスカフェボトルコーヒー(重量物)+伊藤園のお〜いお茶抹茶入り緑茶(茶葉・軽量物)
- 積載方式:ネスレ日本の飲料製品を1段積みにした際に生じる荷台上部の空きスペースに、伊藤園の茶葉製品を積み込む「重軽混載方式」
- 運行頻度:週1回(片道)
- ポイント:重量物と軽量物の密度差を利用して荷台容積を最大化。異なる荷主の製品を同一便に混載する協業型モデル
取り組み②:静岡〜関西間 ラウンド輸送
- 往路:ネスカフェボトルコーヒーを静岡から兵庫県へ輸送
- 復路:原料茶葉を兵庫県から静岡へ輸送(帰り荷を確保)
- 運行頻度:週1回(往復)
- ポイント:片道のみ積荷が入る「空気輸送」を撲滅し、往復すべてで積荷を確保。同一トラックの稼働率を最大化
マッチングの仕組み
両社が保有する輸送ルート・製品特性・輸送頻度のデータを突き合わせ、補完関係にある区間を特定した。静岡(伊藤園の原料産地・ネスレの製品拠点)という地理的共通点が協業の起点になった。
得られた結果
2026年4月28日開始のため、定量的な削減実績はまだ公表されていない。期待される効果として:
- トラック使用台数の削減
- 温室効果ガス排出量の削減
- ドライバー不足への対応(同一便で2社分の輸送をカバー)
両社は継続的な取り組みとして位置づけており、対象ルートや品目の拡大を視野に入れている。
他社が参考にすべき点
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「帰り荷」の発掘が物流脱炭素の最短ルート:片道空車のトラックをなくすラウンド輸送は追加設備投資不要で実施できる最も費用対効果の高い物流改善手法。自社の輸送ルートに「逆向きの荷物を持つ他社」がいないか調査することが出発点。
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荷台の「縦方向の余白」に着目する:重量物を1段積みにすると荷台の高さ方向に空間が生まれる。そこに軽量物を積む「重軽混載」は、単独では積載率を上げにくい企業でも他社との組み合わせで解決できる。
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地理的共通点が協業の糸口:両社ともに静岡を重要拠点とする点が協業の起点になった。同一産地・同一消費地に荷物を持つ他業種企業を探すことが、マッチング成功率を高める。
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異業種間協業が物流2024年問題の現実解:同業他社では競合関係から共同輸送が難しいが、異業種なら製品情報の機密性も問題になりにくい。食品・飲料・日用品など類似した常温輸送ニーズを持つ業種間でのマッチング余地は大きい。