実装のポイント

再生可能エネルギーの調達において、多くの企業は電気料金の単価のみで意思決定をしている。しかし2030年のGHG削減目標(SBTi・RE100等)に向けて、コスト以外の要素——環境価値の質とサプライチェーンへの波及効果——を加味した調達が不可欠になっている。

booostが2026年4月に発表した「booost Energy Marketplace」は、この課題に対して3つの評価軸を持つ一元調達プラットフォームで対処するアプローチだ。電力小売事業者への見積依頼からプラン比較・契約手配までをワンストップ化し、担当者が複数の事業者と個別交渉する工数を削減しながら、意思決定の質を高める仕組みを提供する。

具体的な手順

ステップ1:サステナビリティERPとの連携で調達情報を整備する

booostのサステナビリティERPシステムに既存の電力消費データ・GHG削減目標を入力・連携させる。これにより見積依頼に必要な情報(拠点数・消費量・契約形態・現在のScope2排出量)が自動整理される。グループ連結での一括管理を前提とした設計のため、本社主導で各拠点の調達を統合管理できる。

ステップ2:電力小売事業者へ一斉見積依頼を送信する

プラットフォームを通じて複数の電力小売事業者に対して一括で見積を依頼する。担当者が個別に問い合わせ・仕様送付・回収する作業を省略できる。

ステップ3:3軸評価でプランを比較する

返ってきたプランを以下の3軸で評価する:

  • コスト競争力・安定性:電力単価・価格変動リスク・契約期間の安定性
  • 環境価値の高さ:証書の種類(FIT非化石証書・J-クレジット等)・再エネ属性の質・トレーサビリティ
  • 地域への貢献度:電源の立地・地域経済への貢献・コミュニティとの関係性

RE100やSBTiの要件では「環境価値の質(トラッキング付き証書かどうか等)」が審査されるため、単に安い証書を買えばよいわけではない。3軸評価によって、これらの開示要件との適合性を事前に確認できる。

ステップ4:部門横断の意思決定を実施する

プラットフォームは経営層・調達部門・サステナビリティ部門が同一のデータで意思決定できるよう情報を整理する。短期コスト最適化と長期のGHG削減目標の両立を経営判断として実施する。

ステップ5:交渉・契約手配をプラットフォーム経由で完結する

選定したプランについて、交渉・契約依頼をbooost経由で実行する。

得られた結果

  • 2030年までに取扱電力量1,000億kWhを目標とするプラットフォームとして設計
  • コスト一辺倒の調達から「コスト+環境価値+地域」の3軸評価へ移行することで、GHG削減目標との整合性が高い契約選択が可能になる
  • サステナビリティERPとの連携により、調達した電力の環境価値をGHG報告(Scope2算定)に直接反映できる体制を構築
  • 連結グループ全体での一元管理により、グループ各社・各拠点のバラバラな調達を統合し、スケールメリットと情報透明性を両立

RE100・SBTi・SSBJなど複数の開示要件を満たしながら再エネ調達を最適化するための実務フレームワークとして参照できる。