実装のポイント
富士フイルムホールディングスは、北米全拠点(米国・カナダ)の使用電力を再生可能エネルギー化するにあたり、**バーチャルPPA(Virtual Power Purchase Agreement)**を採用した。自社拠点に太陽光パネルを設置するのではなく、遠隔地の発電施設と長期契約を結び、再エネ証書を取得する方式だ。
物理的な電力線の接続なしに大量の再エネ電力を確保できるため、自社敷地の制約を受けずにスコープ2削減を実現できる点が最大の特徴である。
具体的な手順
- パートナー選定:米国の再エネ事業者Geronimo Powerと契約交渉。テキサス州Brevins市の太陽光発電所(総容量270MW)からの電力を対象とした。
- 契約規模の決定:全拠点の年間電力消費量を算定し、必要な再エネ証書量(約300,000 MWh/年)を確定。発電所の出力のうち125MWを自社分として確保した。
- バーチャルPPA契約締結:2023年に契約を締結。固定価格での長期契約により、電力市場価格の変動リスクをヘッジしながら再エネ調達を安定化させた。
- 発電所稼働後に実施移行:太陽光発電所の本格稼働後、再エネ証書の受け取りを開始し北米全拠点の電力を実質再エネ100%に切り替えた。
- 排出量モニタリング:スコープ2排出量(市場基準)をゼロとして集計し、グループ全体CO2排出量の約10%削減を達成。
得られた結果
- 年間CO2削減量:約9万トン(2024年度グループ総排出量の約10%相当)
- 再エネ証書取得量:年間約30万MWh
- 対象範囲:北米(米国・カナダ)全拠点の使用電力100%
- 長期目標:2040年度までに自社使用エネルギー起因のCO2排出ゼロ
Virtual PPAは追加性のある再エネ発電所の建設に直接貢献できるため、既設再エネの証書購入(グリーン電力証書等)よりも環境価値が高いとされる。