研究の概要
CALSTARTは、米国の中型・大型ゼロエミッショントラック向け充電・水素充填インフラの追跡マップを更新し、64施設を新たに追加した。現在、17州にわたる約162施設、1500以上のEV充電口と32の水素充填ノズルが稼働・整備中であることが確認されている。今回の更新では、2026年・2030年・2035年における管理充電・非管理充電下での最大充電需要のシナリオ可視化機能が新たに追加され、グリッド影響評価と先行インフラ投資の計画立案を支援するツールとなっている。
主な発見・成果
- I-5・I-10廊下ではインフラ整備が先行している一方、I-80・I-95などの主要フレイト廊下では整備が計画段階にとどまり、地理的不均衡が顕在化した
- シナリオモデリングにより、どの地域でグリッドボトルネックが生じるかを事前に特定し、電力会社の先行投資の根拠データとして活用できる
- 乗用車用EVインフラとは異なり、クラス8トラックにはアクセスビリティ・電力容量・駐車スペースの要件が大きく異なることが可視化された
- 同マップは「単なる充電口の地図ではなく、産業全体の移行に向けた進捗の地図」として位置づけられており、政策・投資・事業計画の参照ツールとなっている
実務への応用
日本の物流事業者・フリート管理者・インフラ投資家が商用EV大型トラックの導入計画を策定する際、米国の先行事例から学べるポイントは多い。特に、①フレイト廊下別の充電インフラ整備状況を起点にした路線選定・ルートプランニング、②グリッドボトルネック予測を踏まえた配電設備アップグレードの先行投資計画、③乗用車用インフラとは別枠での商用車専用充電インフラ基準の策定、④2030年・2035年の需要シナリオを用いた収益モデルの長期検証、の四点が実務的示唆として重要。CALSTARTのオープンマップツールは日本語版の政策担当者にとっても方法論の参考となる。