実装のポイント
固定価格買取制度(FIT)終了後のバイオマス発電所がどう生き残るか。岐阜・美濃加茂バイオマス発電所(7.1MW)は、FIPへの移行と同時に「オフサイト型バーチャルPPA」を組み合わせることで、11社に環境価値を分配しつつ発電収益を確保するモデルを実現した。
具体的な手順
① FIT→FIP転換の判断基準 FITで固定収入(木質未使用材32円/kWh、一般材24円/kWh)を得ていた施設が、FIP移行後は電力卸市場価格にプレミアムが上乗せされる仕組みへ変わる。市場価格変動リスクを取れる財務体力があること、かつ非化石証書の発行が可能なことが移行判断の前提。
② バーチャルPPA組成の手順 中部電力ミライズがアグリゲーターとして機能。物理的な送電線なしで「環境価値(非化石証書)」のみを取引するオフサイト型スキームを採用。参加企業は地理的制約なく環境価値を取得できる。11社が参加し、年間CO2削減量約2.1万トンを按分。
③ 企業別の削減量配分 カヤバ:年間4,000トン削減、スカイラーク・ホールディングス:12拠点で1,030トン削減、日本電産トムソン:2,055トン分のクレジット取得。規模に応じた比例配分が可能。
④ FIPプレミアム収入の活用 発電所側はFIPプレミアムで市場価格変動を一定程度緩和しつつ、バーチャルPPA手数料収入も得ることで複合的な収益構造を構築。
得られた結果
- 設備容量:7.1MW
- 年間発電量:約5,000万kWh
- 年間CO2削減量:約2.1万トン
- 参加企業数:11社(カヤバ、スカイラーク等)
- カヤバの削減効果:年間4,000トン
- スカイラークの削減効果:1,030トン(12拠点)
バイオマス発電所のFIT満了をビジネス転換機会として捉え、電力会社がアグリゲーターになることで中小規模施設でも多企業への環境価値供給が可能になることを示した。