実装のポイント
GHGプロトコルが提案するスコープ2ガイダンスの改訂案は、コーポレートPPA(電力購入契約)の算定・評価方法に大きな影響を与える。現行のマーケットベース方式とロケーションベース方式の両立から、調達した電力の物理的な時間・場所の一致(24/7 CFE)への移行が議論の中心となっている。
法律事務所Bird & Birdの解説によれば、この改訂案は単なるルール変更にとどまらず、企業のScope2排出量報告の実務フロー全体を見直す必要を生じさせる。特にバーチャルPPA(差額決済型)を活用してきた企業は、その会計上の取り扱いと開示方法を再検討する局面を迎えている。
具体的な手順
改訂案への対応として、実務担当者が取るべき手順は以下の通りである:
- 現状把握:自社が活用中のPPA契約(フィジカル/バーチャル)の種別を整理し、現行のマーケットベース方式での算定ロジックを文書化する
- 影響評価:改訂案の時間・場所一致要件(Temporal and Geographic matching)が自社の既存契約にどう影響するかをシミュレートする
- EAC(Energy Attribute Certificate)の見直し:RECやGO(保証書)の取得タイミングと対応する発電時間帯の整合性を確認する
- パブリックコメントへの参加:GHGプロトコルの改訂案はパブリックコメント受付中であり、自社にとって不利な要件については意見提出が可能
- 契約条件の確認:新ルール施行後に既存PPA契約が有効なScope2証拠として認められるか、法的観点からレビューを行う
得られた結果
Bird & Bird の分析によれば、改訂案が現行のままファイナライズされた場合、バーチャルPPAによるRECのみでのスコープ2オフセットが認められなくなる可能性があり、特に日本を含むアジア太平洋地域では対応可能な電力市場インフラが未整備のため、追加的な対策コストが発生することが予想される。一方で、物理的な再エネ調達(フィジカルPPA)や24時間マッチング(24/7 CFE)サービスへの需要が高まり、より実態に即したGX戦略の構築が促進される効果も期待される。