実装のポイント
AWSが2026年3月末にリリースした「Sustainability コンソール」は、クラウド利用に起因するScope 1・2・3排出量をプログラムから取得できるサービスです。これまで排出量データの閲覧には請求コンソールへのアクセス権が必要でしたが、新コンソールは独立した権限モデルを持ち、サステナビリティ担当者が単独でアクセスできるようになりました。
具体的な手順
1. IAM権限の設定
AWS Sustainability コンソールは請求コンソールから独立した権限モデルを採用しています。サステナビリティ担当者のIAMロールに sustainability:GetEstimatedCarbonEmissions などのアクション権限を付与することで、請求担当者の関与なしにデータへアクセス可能になります。
2. CLIによるScope 1〜3データの取得
AWS CLIを使い、以下のコマンドで特定期間の推定排出量を取得できます。
aws sustainability get-estimated-carbon-emissions \
--time-period='{"Start":"2025-03-01T00:00:00Z"}'
レスポンスはMTCO2e(メートルトン換算CO2等量)単位で返却され、リージョン・サービス(EC2、S3、CloudFrontなど)ごとの内訳も含まれます。
3. SDKを使った自動レポーティングパイプラインの構築
AWS SDKを利用することで、排出量データを社内の報告システム、BIダッシュボード、またはGHGプロトコル対応の開示ツールに自動連携するパイプラインを構築できます。
4. カスタムCSVレポートの出力
コンソールのReportsページでは、フィールド・時間粒度・フィルター条件を選択したカスタムCSVを出力できます。また、会計年度を組織の実際の年度に合わせて設定することも可能です。月次・年次のプリセットレポートでは、ロケーションベース方式(LBM)とマーケットベース方式(MBM)の両形式が提供されます。
5. 第三者検証済みの方法論の活用
排出量の算定方法論はコンサルタント会社Apexによる第三者検証を受けており、2022年1月までさかのぼった過去データも参照可能です。
得られた結果
- Scope 1(直接排出)・Scope 2(購入電力由来)・Scope 3(バリューチェーン間接排出、サーバー製造・施設建設を含む)を一元管理
- サービスレベル・リージョンレベルまで粒度を落として排出量を把握可能
- 追加費用なしで利用可能(AWS利用者であれば無償)
- GHGプロトコルのLBM・MBM両方式に対応したレポートを提供