実装のポイント
トラック輸送を鉄道・船舶へ転換する「モーダルシフト」は、物流部門のCO₂排出量削減において最もコスト効率の高い手法の一つである。JR貨物と住友林業緑化が共同開発した「緑配便®」サービスは、南九州産常緑高木の首都圏輸送をトラックから鉄道へ切り替えるモデルケースとして注目されている。
2026年3月4日〜6日、大阪・関西万博(2025年)で使用された樹木を横浜のGREEN×EXPO 2027へ鉄道輸送するプロジェクトが実施された。大阪・安治川口駅から横浜方面へ、住友林業緑化が開発した専用コンテナ「ミライグリーンカーゴ」を使用し、JR貨物が幹線輸送、日本通運がコンテナ集配・ラストマイルを担当する分業体制で実現した。
具体的な手順
物流のモーダルシフトを自社に導入する際の基本的な実装ステップは以下の通りである:
- 対象荷物の選定:長距離幹線輸送(概ね500km以上)かつ定期的な輸送ルートが存在する貨物を特定する。生鮮品・緊急性の低い資材・部品・商品が対象として適している
- 鉄道貨物事業者との協議:JR貨物や民間コンテナ業者へ問い合わせ、コンテナ規格(31フィートコンテナ等)の適合性・運行スケジュール・拠点間の距離を確認する
- 専用コンテナ・梱包の検討:生木・精密機器・液体など特殊荷物の場合、専用コンテナの開発または既存品の選定が必要。住友林業緑化のケースでは「ミライグリーンカーゴ」という専用コンテナを新規開発した
- ラストマイルの確保:鉄道駅〜配送先のトラック輸送(ラストマイル)を日通等の物流会社と連携して確保する
- CO₂削減量の算定:国土交通省「グリーン物流パートナーシップ会議」の算定ツールや、自社の輸送距離・重量データを使い、トラック比の削減量を定量化する
得られた結果
「緑配便®」サービスは物流の「2024年問題」(ドライバー不足)と脱炭素化を同時に解決するソリューションとして設計されている。鉄道貨物は同距離のトラック輸送と比較してCO₂排出量が約1/10とされており(国土交通省データ)、長距離幹線輸送における最大の削減レバーとなる。今回のプロジェクトは複数企業・博覧会をまたいだ「グリーン物流の実証モデル」として機能しており、今後の常設サービス化が期待されている。