実装のポイント
製造業の脱炭素化において、原材料・製造工程レベルでのCO₂削減は最も根本的なアプローチである。住友電工は第10回ものづくり日本大賞で経済産業大臣賞と優秀賞の両方を受賞し、2つの革新的技術が注目されている。
1. CO₂アップサイクル素材「metacol™」(大臣賞) 産業プロセスで排出されたCO₂と鉄を原料として炭酸鉄(FeCO₃)を工業生産する技術。従来の素材製造で必要だったエネルギー多消費型工程を抑制しながら、CO₂を「廃棄物」から「原料」へと転換するアップサイクル手法である。
2. 自動車用アルミニウム電線(優秀賞) 従来の銅線に代えてアルミニウムを使用したワイヤーハーネス。車両1台あたり約4kgの軽量化(ワイヤーハーネス重量25%削減)を実現し、燃費・電費の改善を通じた走行時のCO₂排出削減に寄与する。
具体的な手順
metacol™のアップサイクルプロセス(概要):
- 工場排ガス等からCO₂を回収・濃縮する
- 回収したCO₂と鉄(鉄源)を反応させ、炭酸鉄(FeCO₃)を生成する化学プロセスを実施
- 生成した炭酸鉄をプラスチック・コーティング・電子部品材料等の充填剤・機能材料として活用
- エネルギー多消費型の高温・高圧工程を避けることで製造時のCO₂排出も同時に削減
アルミ電線への切り替え実装手順(自動車・機器メーカー向け):
- 現行のワイヤーハーネス仕様を棚卸し、アルミ代替可能な回路を特定(電流・電圧・屈曲性の要件を確認)
- アルミ電線の接続部腐食対策(ビスタシール端子・防水処理等)の仕様を確定
- 試作・評価(振動試験・耐熱試験・電気抵抗試験)を実施
- 量産展開と重量削減量・燃費改善値をLCA(ライフサイクルアセスメント)で算定しScope3 Cat.11(製品の使用)として報告
得られた結果
アルミ電線は銅線比でワイヤーハーネス重量を25%削減し、車両1台あたり約4kgの軽量化を実現。電気自動車(EV)では走行距離延長にも直結する。metacol™はCO₂の固定化と産業原料化を同時実現する希少な技術であり、今後のカーボンクレジット活用やScope1削減の直接手段として産業界での展開が期待されている。