やったこと

東急不動産グループが手がけるPPAサービスが、横浜市内の公立学校43校(小中学校・高等学校・特別支援学校)の屋上太陽光発電を発電源として活用し、「横浜アリーナ」(多目的アリーナ施設)へオフサイト型コーポレートPPAで再生可能エネルギーを供給する仕組みを構築した。発電側は自治体が保有する既存の学校施設であり、企業が新たな発電設備を取得することなく地域内の再エネを調達できる点が本スキームの核心にある。

具体的な手順・工夫

本スキームは二層構造で設計されている。

第1層:生グリーン電力(オフサイトPPA)

  • 横浜市内43校の学校屋上に設置された太陽光パネルが発電した電力を、既存の送配電網を通じて横浜アリーナへ供給する「オフサイト型コーポレートPPA」を採用
  • トラッキング付き非化石証書を付帯することで、どの電源由来かを追跡可能な状態で環境価値を証明
  • この方式によりアリーナの年間使用電力量の**約8%**を「生グリーン電力」として調達

第2層:FIT非化石証書による補完

  • 生グリーン電力でカバーできない残り約92%については、FIT(固定価格買取制度)由来の非化石証書を別途購入して付帯
  • FIT非化石証書は電力の「環境価値」を証書化したもので、通常の電力料金に1〜3円/kWh程度の上乗せコストで調達できる
  • 生グリーン電力との組み合わせにより、年間使用電力量全体の実質100%再エネ化を達成

スキームの構成要素:

役割主体
PPA事業者東急不動産グループ
発電場所(オフサイト)横浜市内の公立学校43校
需要場所横浜アリーナ
自治体連携横浜市

ポイント: 発電場所と消費場所は同一の横浜市内に限定しており、地産地消の観点から「横浜発の脱炭素エネルギー循環モデル」としての訴求力を持つ設計となっている。

得られた結果

  • 横浜アリーナの年間使用電力を実質100%再エネ化
  • 自社敷地内に太陽光パネルを設置せずに再エネ調達を完了(オフサイトの利点)
  • 公共施設(学校)の遊休屋上スペースを活用した地域内エネルギー循環モデルの実証
  • 自治体・施設運営者・PPA事業者の三者連携による新たな再エネ調達モデルの構築

他社が参考にすべき点

  1. 自社敷地がなくてもオフサイトPPAで再エネ調達は可能:都市部のアリーナ・ホテル・オフィスビル等、屋上や駐車場に太陽光を設置できない施設でも、近隣の公共施設・他社施設との連携でPPAが実現できる。

  2. 8%生グリーン+92%証書の二層スキームは現実的なアプローチ:完全にオフサイトPPAだけで100%再エネ化するのはコスト・電源確保の面で困難な場合が多い。生グリーン電力で一部を確保し、残りをFIT非化石証書で補完する組み合わせは、コストと証明力のバランスとして検討に値する。

  3. 自治体との連携が学校活用の鍵:公立学校の屋上を発電源とするには、自治体との協定・許可取得が必要。PPA事業者が自治体との調整を担うスキームを構築すると、需要家側の導入障壁が大幅に下がる。

  4. 大型エンタメ・スポーツ施設のGX化手法として参考になる:アリーナ・スタジアム・コンサートホール等の電力多消費型施設は再エネ化の遅れが目立つが、本事例はその突破口となるモデルケースである。