実装のポイント
中小企業にとってGHG排出量算定や再エネ調達は「専門知識が必要でハードルが高い」と敬遠されがちだが、地方自治体主導の実践的プログラムを活用することで、外部コストを最小限に抑えながら体系的に実装できる。東京都千代田区が実施した「ちよエコ未来企業スクール」は、全4回の講座で排出量算定・削減計画策定・再エネ導入を一気通貫で実装するモデルケースである。
同プログラムは金融機関・損害保険会社の紹介を通じて区内中小・中堅企業11社が参加。2025年11月開講〜2026年2月修了の4ヶ月間で、座学だけでなく入札型再エネ調達プラットフォーム「Eサイクルちよだ」を活用した実践的な調達体験まで組み込まれている点が特徴的である。
具体的な手順
- 参加申込み:千代田区内の事業所を持つ中小・中堅企業が対象。区内の金融機関・損害保険会社経由の紹介が主な参加ルート(直接申込も可能)。取引銀行・保険会社にGX支援プログラムの照会を行うことが有効
- 第1〜2回講座:GHG排出量算定:自社のScope1(燃料燃焼)・Scope2(購入電力)の排出量を算定する。区提供のツールまたは環境省GHGプロトコルシートを使用し、ベースラインを確定する
- 第3回講座:削減計画策定:算定した排出量をもとに省エネ・再エネ導入の優先順位を検討し、削減計画書を作成する
- 第4回講座:再エネ調達体験:「Eサイクルちよだ」プラットフォームを活用。複数の小売電気事業者が条件を提示する入札方式で、価格を抑えながら再エネ電力プランを選定する。地域産再エネ(例:群馬県嬬恋村産、茨城県神栖市産)を選ぶと地域貢献のアピールも可能
- 成果の可視化・発信:脱炭素取り組みを千代田エコシステム推進協議会に登録し、対外的にアピールする。BtoB商談での差別化や金融機関ESG評価向上に活用する
得られた結果
参加11社のうち、日比谷花壇が群馬県嬬恋村産の再生可能エネルギー電力の購入を決定。リーテムが茨城県神栖市(自社工場所在地)産再エネの調達検討を開始し、2024年度の電力使用排出量のゼロ化をすでに達成している。区の担当者は「目立ってもらうことで続く会社に出てきてほしい」と述べており、成果の可視化が中小企業間の脱炭素連鎖を生む波及効果を狙う設計となっている。