実装のポイント
公共施設の再エネ電力調達において「コスト増」と「脱炭素化」が両立しないという認識は誤りである。滋賀県大津市は電力リバースオークションサービス「エネオク」(株式会社エナーバンク提供)を活用し、市内公共施設49契約(高圧23件・低圧26件)の電力を再生可能エネルギー100%に切り替えながら、高圧区画で電気料金を23.8%削減することに成功した。
「エネオク」は通常の入札と異なり、複数の電力小売事業者が何度でも再入札できるリバースオークション方式を採用している。業者間の継続的な価格競争が起きるため、従来の単一応札入札では実現困難な低価格での再エネ調達が可能になる。サービス利用料は無償で、仕様書・予定価格案の作成支援も含まれる。滋賀県内で自治体がエネオクを活用した初の事例となった。
具体的な手順
- 施設リストの整理・契約区分の分類:公共施設の電力契約を高圧・低圧に分類し、一括でのオークション対象施設リストを作成する。大津市は49契約(高圧23件・低圧26件)を対象とした
- エネオクへの申込み・仕様書作成:エナーバンクに相談し、希望する再エネ条件(100%再エネ等)を仕様書に盛り込む。エナーバンク側が仕様書・予定価格案の作成を支援するため、電力調達の専門知識は不要
- リバースオークションの実施:複数の電力小売事業者が参加し、再入札を繰り返しながら価格競争を行う。最終落札業者が決定するまで入札が継続される
- 落札業者との電力契約締結:落札した電力小売事業者と再エネ100%の電力供給契約を締結する
- 効果検証・GHG削減量の計上:削減額・削減率を算定し、電力由来のCO₂削減効果(Scope2削減)を定量化。自治体のGHG削減実績として計上する
得られた結果
高圧オークション(23件)ではスタート価格4,956万円に対し落札価格3,775万円で**削減率23.8%**を達成。低圧オークション(26件)でも約19%の削減。電気料金の大幅削減と再エネ100%化を同時に実現した。リバースオークション方式により、通常の競争入札では得られない継続的な価格引き下げ圧力が働き、コスト面での脱炭素化が可能になることが実証された。