実装のポイント
SAF(持続可能な航空燃料)の国産化には、原料バイオマスから高純度エタノールを低コストで製造するプロセスが鍵となる。木村化工機は、ソルガム(飼料・糖用作物)を原料として安価なバイオエタノールを国産製造する4段階プロセスを開発・実装している。セルロース系バイオマスの強固な組織を亜臨界水で分解する水熱処理技術と、ヒートポンプを活用した省エネ蒸留装置の組み合わせが核心技術であり、消費電力0.7kWh/L・理論回収率99.0%を達成している。
ソルガムはトウモロコシ等と比較して栽培が容易で、国内の耕作放棄地等での生産が期待できる。国産SAF原料の多様化と製造コスト低減を同時に実現する手法として注目される。
具体的な手順
- 前処理(水熱処理):高温高圧の亜臨界水が持つ高い加水分解能力を利用してソルガムのセルロース・ヘミセルロース・リグニンを分解・可溶化する。酸またはアルカリによる薬品処理との選択も可能。亜臨界水処理は薬品使用量を抑えられるため環境負荷が低い
- 糖化・発酵:前処理で可溶化した多糖類を酵素で糖化し、酵母によるアルコール発酵でエタノール液を生成する。ソルガムは糖分・デンプン・セルロースを含む多糖源であり、複合基質への対応が必要
- 精密ろ過・限外ろ過による不純物除去:膜処理技術(精密ろ過膜・限外ろ過膜)を用いて発酵液中の菌体・不溶性成分・高分子不純物を除去し、蒸留前の液質を整える
- ヒートポンプ式蒸留で高純度化:ヒートポンプ蒸留装置でエタノールを濃縮・高純度化する。消費電力量0.7kWh/L(従来蒸留比で省エネ)・理論回収率99.0%を実現。最終的に99.5%以上の高純度エタノールに仕上げてSAF製造原料として供給する
得られた結果
ヒートポンプ式蒸留装置による0.7kWh/Lの省エネ蒸留と99.0%の高回収率を確立し、バイオエタノール製造における主要なエネルギー消費工程を大幅に効率化した。国産ソルガムを原料とすることで輸入バイオマスへの依存を低減し、食料との競合が少ない非食用部位の活用も可能。SAFは従来の航空燃料と比較してCO2排出量を最大80%削減できるとされており、本プロセスの実用化は国内航空会社の2030年SAF10%目標達成を支援する。