やったこと

東京都の「中小企業等における排出量取引創出のためのモデル事業」を活用し、鋼板加工メーカーの明治鋼業(東京都千代田区)が工場に太陽光発電設備を導入してCO₂削減量をJクレジットとして認証された。2032年までに677tのCO₂削減クレジット創出を見込んでいる。

具体的な手順・工夫

東京都のモデル事業スキーム

東京都が実施する「中小企業等における排出量取引創出のためのモデル事業」は、Jクレジット取得を単独では難しい中小企業を対象に、専門家派遣・補助金・CO₂削減計画策定・Jクレジット取得のサポートをワンストップで提供するプログラム。

支援内容(東京都モデル事業)

  • 専門家(エネルギーアドバイザー等)の派遣
  • CO₂排出削減計画の策定支援
  • 省エネ・再エネ設備導入への補助金支援
  • Jクレジット創出・取得プロセスの支援(認証手続き代行含む)

明治鋼業が実施したこと

  1. 東京都のモデル事業に申し込み、専門家派遣を受ける
  2. 工場の省エネ診断・CO₂削減ポテンシャルの評価
  3. 太陽光発電設備の導入計画策定(補助金活用)
  4. 太陽光発電設備の設置・稼働
  5. CO₂削減量をJクレジット申請→認証
  6. 2032年までの削減クレジット677tの認証取得

Jクレジットの仕組みと価値

  • J-クレジット制度は国が認証する日本国内のカーボンクレジット制度
  • 太陽光発電設備の導入で削減した排出量を「削減クレジット」として登録・売却できる
  • 取得したクレジットは自社のカーボンニュートラル宣言に使用するか、東京都のキャップ&トレード制度や民間カーボン市場で売却して収益化できる
  • 677tのクレジットは現在の市場価格(1t≒3,000〜5,000円)で換算すると約200〜340万円相当

中小製造業での課題と解決策 中小企業がJクレジットを単独取得するには、認証機関への申請書類作成・第三者検証・モニタリング等の手続きが複雑で、専任担当者がいない企業には難易度が高い。東京都のモデル事業のような公的支援を使うことで、行政コーディネーターが認証手続きを代行・伴走支援するため、初めてでも取得できる。

得られた結果

  • 677tのJクレジット認証取得(2032年まで)
  • 工場の太陽光発電設備が稼働し電力コスト削減も実現
  • 東京都の「排出量取引創出モデル事業」の成果事例として公表
  • 中小製造業でのJクレジット取得の実現可能性を実証

他社が参考にすべき点

  1. 東京都のモデル事業のような公的支援を最初の一歩に使う:中小企業のJクレジット取得は公的支援を使えば現実的なコストで実現できる。東京都の同事業は毎年公募があり、他の都道府県にも同様の支援制度が存在する。

  2. 太陽光発電はJクレジット申請のエントリーポイントとして最も簡便:Jクレジット制度には多くのプロジェクト種別があるが、太陽光発電はモニタリング手法が標準化されており、書類作成の難易度が比較的低い。中小製造業の工場屋根への太陽光導入が最初のクレジット取得事例として多い理由。

  3. 677t/〜2032年の規模感が参考になる:工場規模の太陽光導入で数百〜1,000t規模のクレジット認証が目安。RE100・SBTiの実績報告だけでなく、クレジット売却による収益化も中小製造業の投資回収手段として有効。