やったこと
NTTアノードエナジーが山口県宇部市の下水道施設に対し、「ウォーターPPP(公共施設の官民連携運営)」と「オフサイト型コーポレートPPA」を組み合わせた全国初のスキームで再生可能エネルギーを供給し、2026年4月に本格稼働を開始した。30年間の長期契約により、年間約1,231tのCO₂削減と事業費14億円削減を実現している。
具体的な手順・工夫
スキームの全体像
本事業は3つの要素が組み合わさっている。
第1要素:ウォーターPPP(下水道の官民連携) 宇部市から委託された事業会社「うべアクアフロント」が下水道施設の運営を担う。PPPスキームを活用することで行政単独では難しい長期コスト最適化が可能になる。14億円の事業費削減はこのPPP活用によるコスト効率化が大きく貢献している。
第2要素:オフサイト型コーポレートPPA NTTアノードエナジーが再エネ発電所を別の場所に設置し、そこで発電した電力を電力系統経由で下水道施設に供給するオフサイトPPA方式を採用。施設側は設備投資不要で再エネ電力を購入できる。
第3要素:非化石証書との組み合わせ NTTアノードエナジーグループの小売事業者「エネット」がPPA供給に加えて非化石証書と組み合わせることで、供給電力を100%再生可能エネルギー化する設計。Scope2排出量をゼロにすることが可能。
契約期間と規模
- 契約期間:2057年3月まで(約30年間)
- 年間CO₂削減量:約1,231t
- 事業費削減:14億円(PPPスキーム全体)
「全国初」の意義 「レベル3.5以上のウォーターPPP事業向けオフサイト型コーポレートPPA」は全国初の実績。下水道・水道など公共インフラをPPPで民間運営しながら、同時に再エネ化を進めるという複合モデルのパイオニアケースとなった。
得られた結果
- 年間約1,231tのCO₂削減(下水道施設のScope2排出をほぼゼロ化)
- 事業費14億円削減(PPPスキーム活用による長期コスト最適化)
- 電力供給の100%再エネ化(非化石証書組み合わせ)
- 全国初のウォーターPPP×オフサイトPPAモデルとして横展開の先行事例化
他社・他自治体が参考にすべき点
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下水道・水道のウォーターPPPは再エネ化の好機:PPP移行のタイミングで電力契約を見直し、オフサイトPPAを組み込むことでインフラ更新コストを下げながら脱炭素化が同時達成できる。宇部市×NTTのモデルは他の水道事業体が参考にできる。
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オフサイトPPA+非化石証書の組み合わせはScope2ゼロの実務解:屋根面積が限られる施設でも、オフサイト発電所からの電力をエネットのような小売事業者経由で受け取り、非化石証書を付与することでRE100・SBTi対応のScope2ゼロを達成できる。
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30年長期契約の利点:PPA価格の長期固定により、エネルギーコストの予見可能性が向上。公共施設・インフラ運営事業者にとって予算計画が立てやすくなる。