実装のポイント
KDDIグループは2026年3月31日に、世界全拠点のデータセンター使用電力を**再生可能エネルギー100%(RE100)**に切り替えたと発表した。グループ会社による自社太陽光発電、バーチャルPPA(Virtual PPA)による環境価値の長期調達、GPU向け水冷技術の商用導入、そして排熱の地域供給という複数の手法を組み合わせた統合的アプローチが特徴である。
AIワークロードの増大によってデータセンターの消費電力は急拡大しており、再エネ化と省エネ化を同時に進める統合戦略は、DC事業者が参考にできるモデルケースとなっている。
具体的な手順
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自社再エネ開発+Virtual PPAの組み合わせ:グループ会社「auリニューアブルエナジー」が太陽光発電設備の開発・運用を担当。国内の自社発電で賄いきれない分をVirtual PPAで補完し、再エネ証書を長期固定価格で安定調達する体制を構築した。電力市場価格の変動リスクを回避しながらRE100を達成できる点が強みである。
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GPU向け水冷技術の商用導入(大阪堺DC):AIサーバー向けの高密度GPUクラスターは空冷では冷却が追いつかないため、大阪堺データセンターにKDDIとして初の商用大規模水冷方式を導入した。水冷による直接冷却で冷却電力を削減し、PUE(電力使用効率)を改善。AI需要増に対応しながらScope 2排出量を抑制するためには、水冷への転換が不可欠と判断した。
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排熱の地域供給(ドイツ拠点):ドイツのデータセンターで発生する余剰熱を、近隣の集合住宅への熱供給として活用する計画を推進。DCのエネルギーを廃棄せず地域の暖房インフラに統合する「排熱地産地消」モデルであり、電力消費削減と地域エネルギー貢献を同時に実現する。
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深層湖水冷却+排熱再利用(カナダ拠点):カナダのオンタリオ湖の深層冷水を冷却源として活用し、空調電力負荷を大幅に削減。同時にDCからの排熱を回収・再利用する仕組みを設計することで、外部エネルギー投入を最小化している。自然冷熱を利用する「フリークーリング」手法のロールモデルとなる。
得られた結果
- RE100達成:2026年3月31日時点で世界全データセンターの使用電力を再エネ100%化
- 水冷技術商用化:大阪堺DCでGPU向け水冷方式を大規模商用導入(国内DCとして先進事例)
- 排熱活用展開:欧州(ドイツ)・北米(カナダ)拠点で地域への熱供給・自然冷熱活用モデルを稼働
- 戦略フレームワーク:「KDDI GREEN PLAN」のもとでネットゼロに向けた継続投資を実施
Virtual PPAと自社発電の組み合わせは、大規模DCを運営する企業がRE100を達成するための最も現実的な経路の一つであり、水冷技術はAI時代の省エネ対策として必須の選択肢となっている。