やったこと
EMANEXが公開した実務解説を基に、RE100の技術要件改定(2022年10月)で新設された「追加性(additionality)」の定義と15年ルール、各調達手法への適用を整理した。自社が加盟・賛同するイニシアチブに準拠しながら追加性のある再エネ調達を実現する手順を解説する。
具体的な手順・工夫
追加性とは何か(定義と重要視される理由)
- 追加性(additionality): 新設の再エネ設備への投資を促す効果。「それまで世界に存在しなかった新たな再エネを生み出す」と言い換えられる
- 既設の再エネ設備の電力・環境価値はすでに社会で消費されているため追加性は小さい
- 気候変動抑制の観点: 残余カーボンバジェット(1.5℃目標での50%確率: 2018年時点で約400Gt-CO₂)が残り少ない中、新設再エネへの投資が必要
- ビジネス要因: RE100・CDP・SBTiが追加性を重視することで、加盟企業の調達戦略に直接影響
RE100の4つの調達タイプ(日本向け)
- 企業が保有する再エネ設備での自家発電
- 再エネ発電事業者との直接契約(フィジカルPPA / バーチャルPPA)
- 電力供給者との電源特定メニュー契約
- 再エネ証書のみの調達
15年ルール(2024年1月以降適用)
- 2024年1月以降に調達する電力は、発電所の運転開始日またはリパワリング日から15年以内の電源が必要
- 投資回収期間(通常15年程度)を区切りとし、新たな再エネへの投資促進を意図
追加性要件が適用除外となるケース
- 自家発電(調達タイプ1)
- 系統連系のない自営線によるフィジカルPPA
- 長期契約プロジェクトへの当初からの参画かつ15年以上経過後に契約延長する場合
- 年間使用量の15%までは15年ルール外の再エネも例外的に認められる
各調達手法の追加性評価
| 調達手法 | 追加性の有無 | 条件 |
|---|---|---|
| 自家消費型太陽光発電 | ✅ 無条件 | 新設工事のみ |
| オンサイトPPA | ✅ 無条件 | 新設太陽光設置 |
| オフサイトPPA(Non-FIT新設) | ✅ 高い | 15年ルール適用あり |
| バーチャルPPA | ⚠️ 条件付き | トラッキングで新設確認が必要 |
| 電源特定メニュー | ⚠️ 条件付き | トラッキングで新設確認が必要 |
| 非化石証書(トラッキングなし) | ❌ 追加性なし | FIT電源が多く既設が中心 |
調達手法選定の実務フロー
- 自社が準拠するイニシアチブ(RE100 / CDP / SBTi等)の技術要件を確認
- 自社の電力使用規模と拠点条件から設置可能な調達タイプを絞り込む
- 15年ルールを確認し、契約対象電源の運転開始日を事前確認
- 追加性の説明が必要な場合はトラッキング機能を持つ調達方法を選択
得られた結果
- RE100技術要件改定後、従来の非化石証書のみでは追加性要件を満たせないケースが増加し、フィジカルPPAへの切り替えが加速
- 「15年ルール外の電源が年間15%まで許容される」という例外規定の活用で、既存契約の一部継続も可能なことが確認されている
他社が参考にすべき点
- RE100加盟企業・検討企業: 2024年1月以降の調達には15年ルールが適用される。現在の調達契約の電源運転開始日を確認し、切り替えタイムラインを経営企画に提示する
- CDP・SBTi対応中の企業: 非化石証書のみの調達では追加性が認められにくくなっている。次の契約更新でフィジカルPPAへ移行することを検討
- 中小企業で設置スペースが限られる場合: 自家消費型太陽光発電(オンサイト)が最もシンプルに追加性を確保できる手法。屋根や駐車場の一部でも導入可能