やったこと
2026年6月26日に開催された「ESG Journal Cafe 第六回」で、CDPを「開示プラットフォーム」として再定義し、CDP回答データをSSBJ基準開示・投資家対話・経営改善に二次活用する「Write once, use many」アプローチが紹介された。約30名のサステナビリティ担当者が参加し、実務体制の整備方法を議論した。
具体的な手順・工夫
現状の課題
多くの企業でSSBJ対応と第三者保証準備が本格化する一方、CDP回答・制度開示・評価機関対応が別々に進行。同一情報を複数回収集・整理することになり、サステナ部門の工数を圧迫している。
「Write once, use many」の実装ステップ
Step 1:CDP回答とSSBJ・TCFD・ISSBのマッピング作成 CDPが公開している「frameworks mapping」資料を活用し、CDP質問項目とSSBJ基準の対応表を社内で作成。重複収集を排除する。
Step 2:CDP回答を一次情報として確立 CDP回答データを社内データベース(またはWorkiva等のツール)で一元管理。「誰でも同じデータが出せる」再現性を確保する。
Step 3:制度開示へ展開 SSBJ開示項目のうちCDPデータを流用できる箇所を特定し、データの二次利用ルールを社内規則として整備。
Step 4:投資家対話素材への加工 CDP回答の要点を投資家エンゲージメント資料に転用。「評価機関対応を単なる事務作業で終わらせず」戦略的情報活用につなげる。
自社診断の3段階フレームワーク
ワークショップで使われた「非財務情報管理体制セルフチェック」:
- 収集フェーズ:データ再現性(誰でも同じデータが出せるか)
- 管理フェーズ:証跡管理(第三者保証の監査に耐えるエビデンスがあるか)
- 開示フェーズ:複数媒体展開(SSBJ・CDP・統合報告書を同一ソースから展開できるか)
得られた結果
参加者アンケートで「他社事例が参考になった」との評価が多数。CDPを「評価機関」ではなく「開示基盤」として使うことで、限られたサステナ部門のリソースで複数の開示要件に対応できるモデルが実証された。
他社が参考にすべき点
SSBJ対応が始まる中規模・大規模企業(従業員500名以上)のサステナ担当者へ:
- 最初の一手:CDPの「frameworks mapping」を使ってSSBJ基準との対応表を1週間で作成する
- ツール選定:既存のCDP回答ツール(Workiva・Sweep等)がSSBJ対応機能を持っているか確認
- 第三者保証準備:CDP回答の証跡管理手法を「内部保証体制」の整備に流用できる
- 第三者保証が始まる前に「内部チェックリスト」を整備しておくと、保証費用の削減につながる