やったこと
電動化の本質を「資源循環」と捉え直した場合、日本の主要自動車メーカー3社がモーター設計で採用している希少金属(レアアース)依存低減アプローチを整理。設計思想と技術的トレードオフを比較分析(2026年5月14日、オルタナ掲載)。
具体的な手順・工夫
トヨタ・ホンダの「引き算設計」アプローチ:
- モーターをより高速・高効率で動作させることで、出力を維持しながらモーター自体を小型化
- ネオジム系永久磁石の使用量を削減することで希少金属(レアアース)依存度を下げる
- 「高速化・高効率化による小型化」という設計方針で実装
日産の「磁石レスモーター」実験アプローチ:
- Arya(アリア)モデルで「磁石レス巻線界磁型モーター」を試験採用
- ネオジム磁石を一切使用せず、電磁石の原理で駆動する設計
- トレードオフ: 大型化・冷却の複雑化・制御の難易度上昇
リサイクル設計(静脈設計)の共通要件:
- 解体しやすい構造設計(分解容易性)を製品開発段階に組み込む
- 国内回収スキームの設計により、希少資源の海外流出を防ぐ
- 「回収スキームの設計」がEV普及と並行して必須要件になりつつある
得られた結果
- EVと同じドライブトレインを持つHVでも同様のレアアース削減設計が適用され、技術は成熟している
- 磁石レスモーターは現時点でコスト・サイズのデメリットがあるが、地政学リスク対応として開発継続中
- 「設計段階からリサイクルを考える」製品責任の概念が自動車業界全体に浸透しつつある
他社が参考にすべき点
- 製造業全般において「高速化・小型化による材料削減」は省資源化の普遍的アプローチ
- 自動車以外の電機・産業機器メーカーも永久磁石モーターの使用量削減を設計方針に組み込める
- 製品販売後の回収スキーム設計を「製品開発の一部」として位置づけることが2030年代の必須要件になる