実装のポイント

北海道ガスは2026年4月から2027年3月にかけて、温泉付随ガス(温泉くみ上げ時に発生する天然ガス)をガスエンジンコージェネレーションの燃料として利活用する実証実験を開始した。北海道内には約500カ所の源泉が存在し、そのほとんどで可燃性ガスを分離後に大気放散しているが、主成分のメタンは強力な温室効果ガスであるため、この「捨てられているガス」を発電・熱供給に活用する取り組みとして注目される。

具体的な手順

  1. ガス性状の確認: 温泉付随ガスはメタン・窒素・CO2・水蒸気の混合ガスであるため、各源泉の組成データ(主にメタン濃度)を事前に分析し、機器適合性を判断する
  2. 機器選定: アイシンと北海道ガスが共同開発したガスエンジンコージェネレーションシステム「コレモ」を採用。電気と熱を同時回収するCGSで、温泉施設の給湯・暖房需要と相性がよい
  3. 模擬試験: 北海道立総合研究機構の実験設備で、温泉付随ガスを燃料として使用した場合の燃焼特性(燃焼安定性・排ガス特性)を評価
  4. 現地試験: 組成条件に適合する源泉を持つ自治体と連携し、実際の温泉施設でコレモを稼働させ実負荷下でのデータを取得
  5. 課題整理と解決策の検証: 燃焼安定性・メンテナンス頻度・ガス供給圧力などの実運用課題を洗い出し、標準化に向けた対策を文書化

得られた結果

実証期間は2026年4月〜2027年3月。現時点では実証開始フェーズのため定量的な削減実績は未発表だが、将来的には北海道内500源泉への横展開と、コレモで得た知見を給湯暖房機など他のガス機器へ応用することを視野に入れている。温泉事業者にとっては、現在コストをかけて処理・放散しているガスを電力・熱として自家消費または売電できる可能性がある。