実装のポイント

愛知県の部品メーカー・福井鋲螺株式会社は、自社の省エネ実績を基盤に、仕入れ先企業へ「寄り添い活動」と呼ぶ現場診断型サポートを展開し、Scope3(カテゴリ1:購入した製品・サービス)の上流排出量削減に取り組んでいる。自らが愛三工業から同様の支援を受けた経験を起点とし、学んだ手法を横展開することで、サプライチェーン全体での脱炭素を実現しようとするモデルである。

自社では太陽光パネルをグループ合計でサッカーコート4面分(約28,000㎡相当)設置し、使用電力の約20%を再生可能エネルギーで自給している。LED照明・省エネ型エアコン導入も組み合わせ、まず自社のScope1・2削減の実績を作ってから、その知見をサプライヤー支援に活用している点が特徴的だ。

具体的な手順

  1. コンプレッサ設定値の確認:サプライヤーの工場で使用する空気圧縮機(コンプレッサ)の設定圧力・稼働スケジュールを確認し、過剰圧力・無負荷運転時間など省エネ余地を特定する。圧縮空気は工場電力の約20〜30%を占めることが多く、設定改善だけで数%の電力削減が可能
  2. 圧縮空気の流量確認とエア漏れ検査:超音波リークディテクターや圧力計を用いてエア漏れ箇所を特定・記録する。配管・継手・バルブのエア漏れを一覧化し、優先度順に補修計画を策定。エア漏れは見えないため、数値で見せることで経営者の腹落ちを促す
  3. 電力使用量・電気料金での成果可視化:上記改善の前後で電力計を使い消費量を実測し、削減kWh・月額コスト削減額・CO2換算量で報告書を作成する。「感覚ではなく数字で説明する」ことで、サプライヤーが取り組みを社内承認しやすくする

また、自社従業員向けには「社員が講師として教材を作成し、講座修了が昇進条件になる」独自の省エネ教育カリキュラムを整備しており、現場知識の社内伝達と省エネ意識の底上げにも活用している。

得られた結果

自社のScope1・2については太陽光パネルで使用電力の約20%を再生可能エネルギー化し、LED・省エネ空調などと組み合わせて電力コスト削減と排出量削減の両立を実現している。「寄り添い活動」によるサプライヤー支援は2024年から開始しており、愛三工業から受けたサポートを模した形でサプライチェーン上流への展開を進めている段階。CO2削減量の具体的な数値は未発表だが、電気料金の削減額を根拠に取り組みの定量的な効果を各サプライヤーに説明している。