実装のポイント

商船三井が日立製作所・日立システムズと共同で進める浮体式データセンター(フローティングDC)は、稼働年数20〜25年を迎えた退役船(毎年15〜20隻発生)を改造してDCとして再活用するスキームだ。中古船の構造改造は造船所で行うため、船体構造を熟知した技術者が作業を担当でき、建設品質と工期の両方で優位性を発揮する。

具体的な手順

  1. 資産選定: まず1万t級の船舶を対象に実証事業を実施(商船三井保有約400隻から対象船を選定)
  2. 造船所での改造: 既存の船体構造を活かしながらサーバールームへの転用改造を実施
  3. モジュール設計: サーバー設備をモジュール構成にして拡張性と実装効率を確保
  4. 係留・運用: 都市近郊の港湾に係留し、海水冷却を活用してPUEを改善
  5. 通信接続: 港湾係留によりデータ通信の遅延を陸上DCと同水準に抑制

得られた結果

商船三井の試算では、浮体式DCは陸上建屋型DCと比較して建設から運用までのCO2総排出量を約20%削減できると見込む。また開発期間は陸上建設より最大3年の短縮が期待され、広大な建設用地も不要になる。既存船舶インフラの大規模活用により、製造段階の排出(Scope3上流)を大幅に圧縮できる点が特徴的な排出削減アプローチだ。