実装のポイント

JR九州と伊藤忠エネクスが2026年5月から開始した実証試験は、既存のディーゼル鉄道車両を一切改造せずに再生可能燃料へ移行できる「ドロップイン燃料」アプローチを採用している。使用燃料は伊藤忠エネクスの「FINE DIESEL」で、軽油に最大40%のHVO(水素処理植物油)を混合したもの。HVOは廃食用油・植物油を水素処理で精製した再生可能ディーゼルであり、軽油と同等の化学構造を持つため、エンジンや燃料系統の改修コストが発生しない。

具体的な手順

  1. 事前検証: YC1系車両を使い構内での試運転を先行実施し、エンジン適合性を確認
  2. 段階的導入: 3両編成のうち1両のみHVOを給油する部分導入方式を採用
  3. 実路線での検証: 長崎本線(江北〜長崎)、佐世保線(江北〜佐世保)、大村線(早岐〜諫早)の3路線で営業運転データを取得
  4. 期間設定: 2026年5月27日〜2028年3月の約2年間で燃費・排出量・エンジン劣化を継続計測

得られた結果

現時点は実証段階であり、最終的な排出削減数値は2028年3月までの計測を経て確定する予定。HVOの国際的な実績では従来軽油比で最大90%のライフサイクルCO2削減が報告されており、鉄道部門への適用可能性を検証する先行事例として注目される。「ドロップイン」アプローチにより、初期投資を最小化しながら脱炭素転換を段階的に実施できるモデルケースとなる。