やったこと
経済産業省は2026年5月26日、「次世代型太陽電池戦略」の進捗状況と新たな普及施策を公表した。ペロブスカイト太陽電池をはじめとする次世代太陽電池について、2030年・2040年の発電コスト目標と国内生産量目標を明示し、サプライチェーン整備に向けた具体策を示した。製造業・物流・小売など自家発電の拡大を検討する事業者にとって、設備更新計画の立案に直結する政策情報である。
具体的な手順・工夫
コスト目標の設定
- 2030年目標:14円/kWh(既存結晶シリコン型と同等水準に近づける)
- 2040年目標:10〜14円/kWh以下(再エネ主力電源化をさらに加速)
現在の結晶シリコン型太陽光の設置コストは低圧案件で15〜20円/kWh程度であるため、2030年時点でペロブスカイト型が同等以下に達すれば、新規採用の経済合理性が成立する。
実証フェーズのスケジュール
- 2027年度中:大学・民間企業連携による100MWの大型実証施設を稼働予定
- 実証施設では量産プロセスの確立・耐久性・変換効率の検証を実施
- 実証参加企業には先行して製造コスト・信頼性データを取得できる機会
国内生産能力目標
- 2030年までに年間300MWの国内生産体制を構築
- 内訳:フィルム型・ガラス基板型を合わせて約200MW、その他製法で残余
サプライチェーン整備
- ペロブスカイト前駆体・電極材料・封止材など部材の安定調達ルートを国内外で確保
- 製造装置の国内メーカー育成と標準化を推進
- NEDOが別途公開したフレキシブル太陽電池の設計・施工ガイドラインと連動した施工標準化
導入対象と用途の広がり
- 軽量・フレキシブルの特性を活かし、従来の結晶シリコン型では設置困難だった場所への展開が視野に入る
- 工場の折板屋根・曲面屋根
- 建物壁面(BIPV:建材一体型太陽光)
- 農業用ハウスの被覆材代替(ソーラーシェアリング)
- カーポート・倉庫屋根の後付け
- 農業用ハウスや薄型倉庫屋根など荷重制限がある建物への後付けニーズに対応
得られた結果
戦略公表時点での企業導入事例はまだ限定的だが、積水化学工業・カネカ等が数MW規模の試験導入を進めており、2027年実証施設稼働後にコスト曲線の急落が見込まれる。変換効率は最新研究で25%超(タンデム型)を達成しており、技術的成熟度は急速に上昇している。2030年代前半には中小工場・倉庫オーナーでも経済合理性を持った自家発電として採用可能な水準に達する見通し。
他社が参考にすべき点
- 現行設備の更新計画にペロブスカイトを織り込む:既設の結晶シリコン太陽光の次期更新(概ね2028〜2033年)にペロブスカイト型を選択肢として検討し始めるタイミングとして適切
- 設置場所の制約を再評価する:重量・勾配の制約で太陽光を断念してきた建物(折板屋根・曲面外壁等)への適用可能性を再評価し、将来の設置面積を試算しておく
- 2027年実証施設への参加窓口に注目:民間企業参加枠がある可能性が高く、早期問い合わせでコスト・信頼性の一次情報を先行取得できる
- 部材・装置サプライヤーには商機:封止材・電極材料・製造装置分野では国内調達優遇の可能性があり、先行開発が競争優位につながる