研究の概要
EVの大量普及は電力グリッドへの新たな需要側柔軟性資源をもたらす。しかし、複数の自律EVが協調してV2G(Vehicle-to-Grid)サービスを提供するためには、車両ルーティング・充放電スケジューリング・交通渋滞の三者を同時に最適化する必要があり、技術的難易度が高い。
イタリア・ジェノバ大学などの研究チームは、分散系統運用者(DSO)が期限内に一定のエネルギー供給を要求するシナリオを想定し、コネクテッド自律EV(CAEV)の協調ディスパッチフレームワークを開発した。V2Gステーションへのルーティングを「資源制約付き最短経路問題」として定式化し、動的交通モデルによる渋滞依存の所要時間を組み込んだ。車両レベルでは速度調整にMPC(モデル予測制御)を採用し、移動エネルギー要件と期限遵守を両立させる。
主な発見・成果
- イタリア・ラパッロ市の実際の都市ネットワークでのシミュレーションでフレームワークの有効性を検証
- 渋滞による遅延が発生しても期限内のエネルギー供給達成を実現
- 仮想バッテリー分割(Virtual Battery Partitioning)技術により各EVの利用可能容量を動的に管理
- 周期的な経路再最適化により交通状況の変化にリアルタイム適応
実務への応用
EVフリート運用事業者・系統運用者・スマートシティ開発者に直接関連する研究。EVを単なる「充電が必要な負荷」ではなく、「能動的なグリッド柔軟性資源」として活用するための具体的な制御アーキテクチャを提示している。日本でも2030年代のEV100万台規模での普及を見据え、同様のアグリゲーター・VPP(仮想発電所)システム設計の参考になる。V2G事業の収益化モデル構築においても有用なフレームワーク。