やったこと

環境省は2026年6月30日、「バリューチェーンにおける環境デュー・ディリジェンスの実践」参考資料を発行した。2025年度の支援プログラムでトヨタ通商・NEC・住友三井建設の3社が実装企業として選定。サプライチェーン全体の環境負の影響を特定・評価・是正するための実践知見がまとめられた。

具体的な3つの取組領域

1. 負の環境影響・リスクの特定・評価

  • サプライヤーへのアンケート・訪問調査で「水使用量」「生物多様性影響」「有害化学物質排出」等のリスクを可視化
  • 業種・地域別リスクマップを作成し、優先対応サプライヤーを決定
  • 「重要度高×リスク大」のサプライヤーから着手する段階的アプローチが推奨

2. 環境マネジメントシステムとの統合

  • 既存のISO 14001等の環境管理体制に環境DDのプロセスを組み込む
  • 定期的なモニタリングサイクル(PDCAサイクル)を確立することで継続的改善を実現

3. 苦情処理メカニズムの構築と是正・救済措置

  • サプライヤーや地域コミュニティが環境懸念を報告できるチャネルの設置
  • 問題発覚後の是正期限・対応フローの文書化

業種別の実装アプローチ

  • 製造業・商社(トヨタ通商型):調達先が多岐にわたる場合、Scope3カテゴリ1(購入した製品・サービス)と重ね合わせてリスク上位サプライヤーを特定
  • IT・サービス業(NEC型):間接材・データセンター設備が主な調達。電力由来のGHGと合わせて環境DDを一体運用できる
  • 建設業(住友三井建設型):資材調達(鉄筋・コンクリート等)が主体。材料の原産地・製造工程まで遡る調査が効果的

得られた結果

段階的アプローチにより、全サプライヤーを初回から完全評価する必要はなく、中堅企業でもリソース内で着手できることが実証された。EU EDD(企業デューデリジェンス指令)への対応が求められる欧州サプライチェーンにも活用できる枠組みが整備された。

他社が参考にすべき点

環境省の参考資料(無料・公開)をそのままフレームワークとして活用でき、ゼロから体制を構築する必要がない。EU EDD対応を求められる日系サプライヤー企業は、この枠組みを基に欧州向け報告体制を構築することで二重投資を避けられる。