やったこと
産業機器メーカーの山善(Yamazen)が公開した工場省エネソリューションの解説を基に、電力見える化→省エネ診断→設備導入→再エネ活用の4ステップと、食品工場・建築資材工場・システムキッチン工場の実証データを整理した。
なぜ今、工場の省エネが重要か
製造業では電気代の高騰が直接的なコスト圧迫要因となっている。同時に、脱炭素規制の強化を見据えた早期対応が競争力維持の鍵でもある。設備の老朽化対応と省エネを同時に実施することで、故障リスクの低減と生産性向上を両立できる点も見逃せない。
STEP1:電力見える化
電力見える化とは、工場の電気使用量をリアルタイムで把握するシステム導入を指す。分電盤に計測装置を取り付けてデータを収集・解析し、工場内の様々な場所でグラフや数値として表示する。
効果: どの設備がどのタイミングで電力を多く消費しているかが「見える」ようになり、改善箇所の優先順位付けが客観的に行えるようになる。「勘や経験」ではなくデータに基づく改善が可能。
STEP2:省エネ診断
見える化で使用状況を把握した後、どの設備の電気代を削減できるかを診断する。山善では専門家が現場を訪問し、エネルギー使用状況を詳細に診断する「省エネルギー診断サービス」を提供している。
STEP3:省エネ設備の導入
| 設備 | 効果のポイント |
|---|---|
| LED照明 | 白熱灯・水銀灯から変更で大幅な節電、長寿命 |
| 高効率空調 | 古い空調の置き換えで少エネルギーで快適性維持 |
| 太陽光発電+蓄電池 | 電力会社からの購入量を削減、非常用電源にも対応 |
| 人感センサ照明 | 常時人がいないエリアの自動点灯・消灯 |
STEP4:再生エネルギーの活用
工場の屋上・屋根に太陽光発電システムを設置し自家消費型で運用する。すべての電力を太陽光でまかなうことはできないが、電力会社からの購入量を削減し電気代上昇の影響を緩和できる。
実際の省エネ事例(定量データ)
入浴剤製作工場
- デマンドアラームへの対応に従業員が駆け回る状況を改善
- 前月実績・今月目標の掲示で省エネ意識を全員に浸透
- 空調設定温度調整・未使用装置の電源OFF等を継続実施
- 結果: 55,880kWh/年削減、約111万円/年のコスト削減
建築資材プレカット工場
- 集塵機のインバーター設定変更(圧力・周波数の最適化)→ 32,200kWh/年削減、63.9万円/年のコスト削減
- コンプレッサ4台→3台に削減(必要流量確認後)→ 8,800kWh/年削減、17.5万円/年のコスト削減
- 合計: 約41,000kWh/年削減、約82万円/年のコスト削減
システムキッチン製作工場
- 空調設定温度を24℃→26℃に変更: 500kWh/年削減、1万円/年削減
- 工場照明のLED化: 142,806kWh/年削減、286万円/年削減
- 集塵機ファンモーターのインバーター化: 15,200kWh/年削減、30.4万円/年削減
- エア漏れ対策(エアリークビューアーで検出・部品交換): 5,000kWh/年削減、8.2万円/年削減
- 加工機械の昼休み電源OFF: 1,480kWh/年削減、3万円/年削減
- 合計: 約165,000kWh/年削減、約329万円/年のコスト削減
特に重視すべきポイント
- エア漏れは「シュー」という音がしないほど小さな漏れでも常時余分な電力を消費させる。エアリークビューアーによる定期検査を習慣化することで効率的に特定・改善できる
- 省エネ効果の可視化(kWh削減量→円換算コスト削減額)が現場モチベーション維持の核になる
- 一度成功事例ができると「無駄を見つける→改善→結果が出る→さらに改善したくなる」のポジティブループが生まれやすい