やったこと
麻酔科医・岡原祥子氏がオーストラリア・パースのフィオナ・スタンレー病院で目撃した医療現場のプラスチック廃棄物削減施策。血液未付着シリンジのリサイクル、PVC製品のダウンサイクル、麻酔ガス代替を組み合わせ、廃棄物処理コストを「半分以上削減」した。
具体的な手順・工夫
1. シリンジの分別リサイクル
- 血液が付着していないシリンジを「一般プラスチック」として分別収集
- 民間業者を通じ「プラスチック製のジョウロ」として大手ホームセンターで販売
- 日本との違い:日本の「感染性廃棄物処理マニュアル」は使用済みシリンジを一律焼却扱い。血液未接触品は別扱いにできるよう法改正が必要。
2. PVC製品のダウンサイクル
- 点滴バッグ・酸素マスクなど回収困難なPVC製品を専用業者に引き渡し
- 転用先:道路基盤材、公園遊具の床材
- 廃棄物処理費用比較で「コストを半分以上削減できる」データが公表済み
3. 麻酔ガスの代替
- デスフルランなど高温室効果ガス麻酔薬(GWP3,714)を院内から撤去
- 環境負荷の低い代替麻酔薬のみに統一
- 病院全体のGHG排出量を有意に削減
4. 現場主導の推進体制
- 若い医師・看護師による「吸水シーツ削減キャンペーン」などボトムアップ活動
- 廃棄物管理企業と医療廃棄物処理業者の連携による「安全な回収ルート」構築
得られた結果
- 廃棄物コストを「半分以上削減」
- 未血液接触シリンジのリサイクルを院内制度化
- 麻酔ガス代替による院内GHG排出量削減
他社が参考にすべき点
日本の医療機関(200床以上の病院)が取り組める実装ポイント:
- 第一歩:「血液未付着品」と「感染性廃棄物」の分別ルールを院内基準として明確化
- コスト試算を先行:「リサイクルする方が安い」という数値根拠を作成し院内稟議で提示
- 業者調査:プラスチック医療廃棄物のリサイクルに対応できる地域業者を調査
- 行政働きかけ:感染性廃棄物処理マニュアルの見直しを求める業界団体活動への参加 医療・介護業界はScope3管理の盲点になりやすい廃棄物分野で先行できる領域。