やったこと

「ソーラー発電所は生物多様性を必ず壊す」という前提を覆す実装事例が国内に複数存在する。兵庫県豊岡市の営農型太陽光(UPDATER×パタゴニア)と農業用溜め池の水面上パネルがその代表例だ。

具体的な手順・工夫

豊岡市:コウノトリ保護農地での営農型太陽光

  • 規模・配置:5カ所合計223.7kW、合計8.85haの水田・畑・育苗ハウス上に点在設置
  • 実施体制:UPDATER(みんな電力)とパタゴニアが協力
  • 農業方針:無農薬・低農薬栽培を徹底(コウノトリの餌場確保のため)
  • 認定取得:2025年9月に「自然共生サイト」認定を取得
  • 収益構造:売電収入で農家経営を支援しながら生物多様性保護を両立

農業用溜め池への水面上パネル設置(兵庫県稲美町・奈良県大和郡山市)

  • 規模:3つの池に計2,125kWのパネルを浮設
  • 水面占有率:約50%未満に設定(野鳥の着水・離水スペースを確保)
  • 設計の工夫:「着水や離水に支障がないよう相当の開水面をあらかじめ設けてあった」
  • 生態系調査:環境調査会社による設置3年後の生物生息調査を実施
    • イカルチドリ・タシギなど希少種を含む野鳥多様性に「明らかな差異は検出できなかった」
  • 副次効果:遮光により「夏の高温水や過度の蒸発が避けられる」→ 水質悪化も軽減

得られた結果

  • 自然共生サイト認定という第三者お墨付きを取得
  • 野鳥多様性への悪影響なしを測定データで証明
  • 農家経営を売電収入で支援する新たなビジネスモデルの確立

他社が参考にすべき点

再エネ事業者・農業法人が「生物多様性配慮型」ソーラー事業を実装する際のポイント:

  • 事前・事後の生物生息調査:設置前と3年後の比較調査を計画段階から組み込む(費用は環境調査会社に見積もりを取る)
  • 水面占有率50%以下の設計:野鳥の利用空間を確保するための設計基準として採用
  • 農業方針との一体化:無農薬・低農薬など農業側の環境配慮と組み合わせることで「自然共生サイト認定」取得の可能性が開ける
  • 中小農業法人(10ha以下)でも、地域の野鳥保護団体や環境系投資家との連携で実現可能