やったこと
富士電機が公開したカーボンニュートラル取り組みコラムより、実際に省エネ大賞を受賞した同社3工場のFEMS(工場エネルギー管理システム)活用事例を整理。「見える化→分かる化→最適化」の3ステップアプローチと各工場の具体的施策・成果を解説。
具体的な手順・工夫
共通アプローチ:見える化・分かる化・最適化の3ステップ
国際標準ISOに基づくEnPI(Energy Performance Indicator=エネルギー性能指標)を導入し、FEMS(Factory Energy Management System)でセンサーデータを収集・可視化。EnPIによりエネルギー消費原単位(単位エネルギー使用量あたりの生産額・数量)を算出し、改善箇所を特定してから施策を実行する。
事例1:山梨工場(パワー半導体チップ生産)
- 成果:5年間でエネルギー使用量を34%削減、平成28年度省エネ大賞「経済産業大臣賞」受賞
- 施策:AIエンジンによる直近エネルギー需要予測→最適運転パターン計画立案。電気と熱エネルギーの最適運用
- 停電対策:燃料電池+コージェネの自立運転に瞬時切り替え+UPS二重・三重保護で生産停止リスクをゼロに
事例2:大田原工場(IoT活用・生産性向上)
- 成果:生産性5%向上、省エネ化を両立
- 施策:QCD(品質・コスト・納期)をリアルタイム可視化するFEMSダッシュボードを構築。工場内カメラ映像×エネルギー使用量×生産状況を横串で分析。ネジ締め工程でネジ供給設備のボトルネックを特定し、プロセス改善でエネルギー効率も向上。同じダッシュボードを海外拠点にも展開
事例3:吹上工場(埼玉・電力予測システム)
- 成果:省エネ効果**-25.7%**(エネルギー効率)、2019年度省エネ大賞(省エネ事例部門)受賞。東京ドーム3個分の敷地、10万世帯分の発電能力
- 施策:電力のピークカット・ピークシフトではなく「ピークチェンジ」を導入。過去蓄積データと状況・季節要因を加味して契約電力超過前に自家発電へ自動切り替え。超過しそうな場合は空調→照明の順で優先度低い負荷を自動停止
- 設備工夫:天井が高い建屋の生産ラインをテントブースで囲んで部分空調化、乗り移りクレーンで扉開閉時の室温変動抑制
得られた結果
- 3工場合計で省エネ大賞2件(経済産業大臣賞+省エネ事例部門)を受賞
- 電力・熱の一元管理により、設備刷新なしでもEnPI活用だけで20〜34%レベルの削減が実現可能であることを実証
- 生産性向上(+5%)と省エネが両立することを大田原工場で示した
他社が参考にすべき点
- 設備刷新なしで着手できる:FEMSとEnPIによる「見える化→分かる化→最適化」サイクルだけで大幅削減が可能
- AIによる電力需要予測が次の一手:単なる計測にとどまらず、過去データと外部情報を組み合わせた予測制御が削減効果を最大化
- 生産ラインのボトルネック改善が省エネに直結:IoTカメラ映像とエネルギーデータの横串分析で工程改善と省エネを同時達成
- 適用対象:電気・熱エネルギー使用量が多い製造業(半導体・電機・食品・化学等)全般に展開可能