やったこと
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が2025年に公表したプレスリリースを整理。ムーンショット型研究開発事業で大阪・関西万博「カーボンリサイクルファクトリー」において、RITE・九州大・名古屋大が大気中CO2を直接回収するDAC(Direct Air Capture)から連続してe-メタンに変換・都市ガスとして供給する世界初の実証を解説。
具体的な手順・工夫
DACとメタネーション連続連結のポイント
- 大気中CO2(400ppm・0.04%の低濃度)をRITE開発のCO2固体吸収材を使ったDACで1日300〜500kg回収
- 回収CO2を同一敷地内のメタネーション設備に「直接供給」→e-メタン(合成天然ガス)として合成
- e-メタンは会場内の迎賓館厨房等に都市ガスとして供給・実利用
- DACで回収したCO2がその場で都市ガスとして変換・実利用される事例は世界初
従来技術との比較
- 海外で実用化済みのDACは多くが地中貯留(CCS)止まり
- 今回はCCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)として燃料変換まで連続実施
- 3台の実証機を24時間連続運転し、大型化・実用化に向けオペレーションデータを取得
関係するプロジェクト構成
- メインDAC(RITE・三菱重工):CO2固体吸収材による主要実証
- 冷熱利用DAC(名古屋大・則永PM):冷熱エネルギーを活用した吸収技術
- ビヨンド・ゼロ(九州大・藤川PM):CO2循環システム
- メタネーション実証(エア・ウォーター他コンソーシアム):e-メタン生成(グリーンイノベーション基金事業)
コスト課題と今後の開発目標
- 現状の低濃度CO2回収技術は高コスト課題が残存
- 既に実用化が進む高濃度CO2ガス回収技術(CCUSで確立済み)と同等以上のコスト低減を目標
- 酸素焼成によりCO2濃度を高めた上で回収→設備コンパクト化を目指す新アプローチも開発中
得られた結果
- DAC(大気CO2回収)→メタネーション(e-メタン変換)→都市ガス実利用の一気通貫システムが世界初実証された
- 日本の技術的優位性(NSPキルン等)を活用したCCUSの産業実装に向けた重要マイルストーン
他社が参考にすべき点
- DACはまだコスト課題が大きいが、2025〜2026年の実証データが今後の商業化コスト試算の基礎になる:早期にサプライヤー情報収集・評価を開始すべき段階
- 「DAC+CCU」の組み合わせはScope1のオフセット手段として注目:地中貯留型CCSより社会的受容性が高く、都市ガス業界・製造業での活用が現実的
- 万博「カーボンリサイクルファクトリー」は一般ツアー公開あり:DACの実機見学・意思決定者向けの現場理解の機会として活用価値が高い